表現の自由の擁護を目的とする特定非営利活動法人、うぐいすリボンは2017年6月18日、「分散型ソーシャルネットワークをめぐる法的問題:マストドンを事例として」と題した講演会を開催した。講師は東京大学大学院情報学環客員研究員の成原慧さん。参加者からの評判もよく、「これは行っておくべきだった」との声が多く挙がっていた。
講演スライドは公開済みだったが、より詳細な講演抄録が7月13日、39ページ分に及ぶPDFで公開された。
マストドンをはじめとする分散SNSに関わる人々にとって必読のドキュメントとなるだろう。
Twitterなどの集中型プラットフォームでは集権的ゲートキーパーによるコントロールが可能だが、それは国家や社会による規制が容易だということでもある。マストドンなどの分散型SNSでは独占的なコントロールを回避できるとともに、規範の棲み分けも可能となる。
米国では地方によっても道徳規範が異なり、それがネット社会になって変質していった。米国の子どもオンライン保護法を巡る裁判である判事が述べた「ネット以前には表現の自由を守る盾だったはずのコミュニティースタンダードが、ネット時代には自由を殺す剣となる」という言葉。
サーバ管理者(マストドンではインスタンス管理者)やユーザーの責任、さらに開発者の責任の有無についても解説。
集権的な管理ができない(しない)ことに起因するであろう問題についてはマストドンの登場以来、指摘されていたことだが、こうして歴史的経緯も含めてまとめられたことにより、議論はさらに深まるのではないだろうか。
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