さくらの「スタートアップスクリプト」を前提としたユニークなマストドン構築ガイド本:マストドンつまみ食い日記
「インストールってこれで終わりなの?」とページを読み返した。その驚きの秘密は。
8月10日に発売された「Mastodon入門ガイド」を読み始めた。Kindle版は518円、紙書籍は1728円(Amazon.co.jpへのリンク)で売られている、さくらインターネットの大喜多利哉さん著によるインスタンス構築・運用のための書籍である。
Chapter 3-3の「さくらのクラウドで作るMastodonインスタンス」からが本書のキモの部分だ。この本は世界最多のMastodonインスタンスをかかえる「さくらのクラウド」で「スタートアップスクリプト」を使う人のための書籍と断言していい。
スタートアップスクリプトそのものについては、以前出席したセミナーで作者の根本昌季さんが説明したスライドがあるので参考になるだろう。
本書では、さくらのインターネットのアカウントを持っていないユーザーが途中でどの設定を選ぶべきか悩まなくていいように、場面場面で細かく説明している。さくらのアカウントを作り、クラウドのプランを選び、ドメインを取得し、サーバを作成する。
Mastodonは様々なプログラムが複雑に組み合わさっているシステムだ。だからインストールしようとすると、コマンド入力の嵐になるはずなのだが、本書のこのパートではほとんどその必要がない。スタートアップスクリプトが面倒をみてくれるからだ。
スタートアップスクリプトでMastodonを選んで3、4ページ後にはもうおなじみのMastodon初期画面が現れる(1.5より前の古いマストドンちゃんだが)。
読んでいて「あれ、Mastodonはいったいどこで入れたんだっけ」と後戻りして確認したくらいのあっけなさである。
その代わり、クラウド設定の部分で戸惑うことのないように十分な解説がされている。こういう複雑なプログラムのインストール解説書としては不思議な感じだが、たしかに実用的だ。
ところで、Mastodonのインストールを開始する前にやっておくべきことが記載されていて、その最後にこういう条件が書かれていた。
インターネットやLinuxに関する知識として、コマンドを打つ場面も多いので必須。ドットコムマスター アドバンスやLPICレベル1相当の知識は最低限必要と書かれている。
そのまま読み進めてしまったが、いくらスタートアップスクリプトで簡単になっているとはいえ、Linuxとインターネットについて再学習をしておく必要がありそうだ。
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