「LTE対応」のノートPCが少ない理由:“中の人”が明かすパソコン裏話(2/2 ページ)
メーカーの中の人だからこそ知っている“PCづくりの裏話”を明かすこの連載。今回は、一部ユーザーに根強い人気を持つ「LTE対応」ノートPCのお話。
LTE対応PCが注目される?
その理由の1つが、働き方改革推進のために通信のセキュリティを向上させるという目的です。悪質なハッカーがPCに侵入する手段として、偽のフリーWi-Fiスポットを立ち上げ、接続してきたPCまたはスマートフォンで入力されたIDやパスワードなどの情報を抜き取ってしまうという手口が横行しています。
皆さんも公共のWi-Fiスポットに接続するときは慎重になっていると思いますが、注意していても意図せずして接続されてしまう可能性もあります。悪質なWi-Fiとは知らずに、ネットバンキングなどにログインしてIDやパスワードが盗まれたら……怖いですよね。
この場合、企業はWi-Fiを使えないようにしてLTEだけに制限することで、通信の安全性を確保できます。LTEの通信は簡単に傍受されないよう強固なセキュリティで保護されていますから、通信経路の安全性を高められます。さらにユーザーのブラウザレベルで暗号化通信の利用、企業などの場合は専用回線やVPN(バーチャルプライベートネットワーク)といった技術を組み合わせることで、より安全性を強固に高められるでしょう。
もう1つが、ネットワーク常時接続の実現です。GoogleドライブやOffice 365などクラウドベースのアプリを普段から利用している方であれば、作業にネットワーク接続が必須。ノートPCを立ち上げて毎回スマートフォンでテザリングをオンにするよりも、安価なデータプランのSIMカードを差し込んでおき、PCを開けば即ネットにつながる方が便利なのは明白です。
PCの紛失時にも、LTEが搭載されていれば位置を特定できる可能性が高まります。さらに、スリープ中でも通信できる「モダンスタンバイ」(旧Connected Standby、旧InstantGo)対応のPCなら、スリープ状態でも通信ができるので、将来的にさまざまな応用ができる可能性があります。
LTE回線は通信事業者が提供する回線なので、場所によって設置環境が異なるWi-Fiのネットワークに比べれば圧倒的に信頼性が高く、いつでも安定した通信ができるネットワークといえます。
働き方改革やクラウドを活用しての効率化を進めていく中で、クラウドやメッセンジャーアプリを利用する機会も増えているため、LTE通信機能が搭載されたノートPCや2-in-1デバイスが求められる状況も以前と比較すればだいぶ増えています。今後は、LTEが使えるノートPCやタブレットも有力な選択肢の1つになるのではないでしょうか。
※スマートフォンは画面が消えている状態(待ち受け状態)でポケットに入れている状態でもLINEやメッセージの着信があればすぐに画面がONになり、通知がされるのが普通です。これは、見た目にはまるで電源が切れているような低消費電力の状態になっていても通信機能が機能しているために、こういった通知が行えます。コネクトスタンバイまたはInstant Goという機能を搭載したノートPCであればスリープ状態からの復帰も非常に早く、アプリがスリープ状態でも通知できます。
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