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DeNAのエンジニアが「ゲーム」から「自動車」事業に異動して活躍できるワケ(3/3 ページ)

「オートモーティブ事業本部に異動したのは2017年春ごろ。それまではゲームプラットフォームを開発していた」――DeNAのエンジニア、放地宏佳さんはそんな異色の経歴の持ち主だ。意外にもゲーム事業での経験がオートモーティブ事業でも生きているという。

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 ロボネコヤマトは、車内に保管ボックスを設置した電気自動車(EV)を活用。ユーザーがスマホを通じて荷物を受け取る場所と時間帯を指定すると、配送してくれる。現時点ではドライバーが運転しているが、将来は無人運転車の導入を想定している。

 小林さんたちは、実際にスマホから注文、配達までを一通り体験した。「ユーザーにとって不便な点、停車位置など気付きがあった。ただ画面の中でデータのやりとりをするだけでなく、われわれが作ったシステムが画面の向こう側でどう動いているかを体験してほしかった」(小林さん)

 「これまでは仮想世界で仕事をしていたので、本当にモノがある世界に飛び出すと思慮が足りない部分も出てくる、そんな難しさがある」(放地さん)

「戦略的に複数のプロジェクトを進めている」

 オートモーティブ事業は、DeNAが育てる“次世代の柱”の1つだ。同社の南場智子会長は、11月の決算説明会で「主力のゲーム事業と匹敵する柱を2025年には複数立てたい」と話し、EC・ネットサービス、ヘルスケア、スポーツと並んでオートモーティブを例に挙げた。より安定した会社経営を目指し、ポートフォリオを拡大していく中で、オートモーティブ事業は投資を受けているという。

 「オートモーティブ事業では、戦略的に複数のプロジェクトを進めている」と小林さん。まず15年9月、スマホアプリを通じてクルマを貸したい人と、クルマを借りたい人をマッチングするCtoC(消費者−消費者間)カーシェアサービス「Anyca」(エニカ)を始めた。16年8月以降、無人運転バスを使った交通サービス「Robot Shuttle」(ロボットシャトル)も各地で実証実験を繰り返している。こうしたプロジェクトが単体としてだけでなく、互いに連携してシナジーを発揮していくと見込む。

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仏企業と協業し、電気で動く無人運転バスを使った交通サービス「Robot Shuttle

 例えば、カーシェアが普及すると同時に自動運転の技術が発展する未来を、小林さんはイメージする。ユーザーが仕事に行っている間、駐車場に止めたクルマを他のユーザーが借りたいとき、クルマが無人で借りたい人の場所まで出向き、ニーズを満たして戻ってくる――そんなサービスも「現実的にできなくはない」(小林さん)。

 「カーシェアや自動運転のプロジェクトなどで蓄積したノウハウを複合することで初めて実現できるサービスがある。現時点では複数のプロジェクトを立ち上げ、世の中に受け入れられるか、他にビジネスが生まれるか、戦略的に考えていきたい」

 クルマに乗車中もユーザーに楽しんでもらうには、エンターテインメント分野やゲーム分野とのシナジーも生まれそうだ。「いまのオートモーティブ分野は、変革の時代にあると思っている。技術が確立して当たり前のフローになる前に、どう効率よく組み立てるか、試行錯誤しているのが楽しい」(放地さん)

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左から、DeNA オートモーティブ事業本部の放地宏佳さん、小林篤さん(基幹システム開発部 部長)
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