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アメリカのIT企業にじわり広がる「持ち帰りサービス残業」 “定時あがり”の光と闇:シリコンバレー流「早く帰るIT」(3/3 ページ)
米国のビジネスパーソンというと、定時で帰宅して家族との時間を過ごしているイメージがあるが、実は「持ち帰り残業」が増えているという調査結果も? 米国で働く著者が分析する。
このように米国と言ってもひとくくりにできない「働く場所」問題ですが、新たな動きも出てきています。それは、企業と自宅の“間”とも言える、コワーキングスペースを企業が活用することです。例えばIBMやMicrosoftといった企業も、コワーキングスペース提供会社である米WeWorkのサービスを活用しています(2017年現在)。
このWeWork社は今年、ソフトバンクグループから44億ドル (約4900億円) もの巨額出資を受け、日本進出に向けて合弁会社を設立しています。一拠点型オフィスとフレックス勤務の間としての「分散型オフィス」環境整備に関連する投資が、2018年は日本でも本格化すると見込まれます。
その上で、これからはオフィス環境だけでなく、万一の際に従業員の安全を確保・確認したり、多拠点の従業員同士を積極的につないだりするためのIT活用施策が、各企業に求められていくでしょう。
企業が管理できる働き方はどこまでか
米国企業は、組織としての価値を上げるための会議の運営進行やオフィス環境の整備は得意な一方で、個人裁量の業務になると企業が手綱を握り切れず、ビジネスパーソンが時間の制約を超えて昼夜を問わず働く傾向にある――という現状も見えてきました。
個人の時間の使い方に関連し、次回は日本でもじわじわと広がっている「副業」の米国での現状についてまとめたいと思います。
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