音声入力がはやっても、PCのキーボードがなくならない理由:“中の人”が明かすパソコン裏話(2/2 ページ)
メーカーの中の人だからこそ知っている“PCづくりの裏話”を明かすこの連載。スマートフォンで主流になりつつある、音声入力やフリック入力。それでもPCのキーボードがなくならない理由とは?
キーボードが無くならない理由
まずは音声の観点から、秘匿性と騒音の問題があります。個室があって、そこで音声入力できるならば問題はありませんが、オフィスやカフェで隣り合わせて人が座っている時に、機密性の高い情報を音声入力するのは難しく、騒音がガヤガヤしていると音声をうまく聞き取れず、正確な入力ができないというケースもあります。
もう1つは、口語と文語の問題です。LINEのやりとりのように、口語長の会話であれば、普段の会話をそのまま発すれば音声入力できますので、スピーディーです。口語長のメールのやりとりや、メッセンジャーアプリでのやりとりは音声入力のほうが早いかもしれません。
しかし、書類作成や本連載のような原稿を書くときなどは、文書の進行を考えながら書いては消して、ほかの言い回しを考えて、消して、順番を変えて、消して──という感じで書くことが多いはずです。
最初からまとめたい内容が頭の中でまとまっていて、口から発するだけという状態であればいいのですが、かまずに滑舌良く発声するのはハードルが高いかも知れません。
最後にエネルギーの問題です。実は私はコールセンターの担当者として1日中お客さまへ電話をかけたり受け付けたりと電話対応をしていた時期があるのですが、とにかくずっと会話を続ければ喉もカラカラになります。
電話対応のそれと同じとはいえないかもしれませんが、キーボードを使う時と別のエネルギーを使うことは確かでしょう。
おすすめは、それぞれの良いところの使い分けです。手が離せない時に音声入力でLINEを返信したり、音声コマンドで素早くタイマー設定をしたり、電車で移動中などはフリック入力でLINEを送ったり、PCが使える時はキーボードで入力することで、多くのことをスマートにこなすことができるでしょう。
実はこの原稿も、思い付いたことはスマホのフリック入力や音声入力でメモをとり、それを基にして原稿の大半はノートPC(キーボード)で入力し、それをスマホで読み直してフリック入力で微修正して仕上げています。
さて、これからもお世話になるであろうPCのキーボードですが、「どんなものを選べばいい?」という疑問があろうかと思います。使いやすいキーボードを選択する簡単なチェックポイントがありますので、ご紹介します。
ノートPCの場合、12インチか13インチ以上の画面サイズのものを選択すると使いやすいキーボードであるケースが多くなります。これは、指の大きさにあう約19ミリのフルサイズキーを配置すると、横幅がおおよそこのサイズになるためです。これよりも画面サイズが小さいノートPCは、キーのサイズそのものが小さくなったり、右側のキーが縮小されていたりするので、使い勝手に影響が出てきます。
最近はディスプレイが狭額縁のモデルが流行しているため、従来の12インチサイズの横幅で13インチの画面を搭載したノートPCも多くなっています。画面の大きさと持ち運び、キーボードの使いやすさを考えると、13インチも良い選択肢になっていると思います。
さらに15インチ以上のノートPCは横幅に余裕がありますので、テンキーがついているケースが多く、表計算の数値入力などに重宝します。さらにキーボードの裏話については、過去の記事もぜひ見て頂ければ幸いです。
とはいえ、意外かもしれませんがどんなキーボードでも人は慣れます。極端な話、タッチキーボードでも慣れてしまえば、便利な道具になるでしょう。しかし、ソフトキーボードよりもハード(物理)キーボードのほうが、「触覚」という優れた感覚を利用してスピーディーに入力できるはずです。
PCも道具なので、自分に適したものを選べると仕事のモチベーションも高くなります。もっと言えば結果にも影響するでしょう。いざ「PCを購入する」といった場面で、ぜひ参考にして頂けましたら幸いです。
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