テスラの自動運転は本当に“使える”のか?(4/4 ページ)
米Teslaの最量販モデルである「モデルS」に乗る機会があった。徹底した自動化とパワー、そして自動運転技術。体験してみるとカルチャーショックというのがぴったりの時間だった。
自動運転で考えたこと
渋滞の中、オートパイロットで運転中に、ふと、みんな自動運転車ならどうなるんだろう? と考えた。まず、人間の運転の場合、前車のブレーキランプの光を見て、こちらも減速しなきゃとブレーキを踏む。ここには当然タイムラグがあり、前車が急ブレーキだったり、反応が遅れたりすると車間が詰まったり、最悪追突することになる。一方で、おそらくオートパイロットは前車との距離はセンサーで測っているが、ブレーキランプは見ていないのだろう。前車がブレーキを踏んでいなくても、車間は細かくコントロールされ、前車が加速するとすぐに追従する。
つまり、自動運転車同士なら、きっとこうなる。設定した車間距離をお互い守りながら、ほぼ同時に減速してほぼ同時に加速する。最高に進化した環境なら、きっと連結された電車のように動くのだろう。きっと渋滞は大幅に減るんじゃないだろうか。
それからもう1つ。オートパイロットで乗っているときは、全くスピードを出したいと思わなくなる。ほぼ法定速度で淡々と走ることに何のストレスも違和感もない。実はモデルSは相当に速い車で、自分でアクセルを踏めば、音もせずに一気に加速する。今回乗ったのは「75D」というベースグレードだが、最上位モデルの「P100D」ともなると2.7秒で100km/hに達するという。これはポルシェの「911ターボS」に匹敵する加速だ。正直、これまで乗ったどの車よりも速い。この加速は凄まじいのひとことなのだが、オートパイロットに慣れると、スピードを出す意欲が本当になくなる。
そんなわけで、TeslaのモデルSとの数日間は、カルチャーショックというのがぴったりの時間だった。正直、ここまでドライビング体験が変わるとは想像以上だ。特に、自動化への信念、ポリシーに衝撃を感じた。本気で、運転補助ではなく、自動運転を目指している、そう感じる経験だった。
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