Facebook、5000万人の個人情報不正利用に関する調査を開始
Facebookが、2016年の米大統領選でトランプ陣営が不正に入手したユーザーデータを利用したとの報道を受け、関係者の調査を開始したと発表した。この件で同社の株価は急落した。
米Facebookは3月19日(現地時間)、17日に米New York Timesなどが報じたデータ解析企業Cambridge Analytica(CA)によるユーザーの個人情報不正利用についての専門家による調査を開始したと発表した。
この問題は、2016年の米大統領選で、ドナルド・トランプ氏の選挙対策本部に協力していたCAが、「米国の投票者の行動に影響を与えられるツール」開発目的でFacebookユーザーの個人情報を調査会社Global Science Research(GSR)から購入し、利用したとされるもの。Facebookは、個人情報はGSRがアプリによってユーザーの許諾を得て収集したものだが、それを第三者に売却したのはポリシー違反だとしている。
Facebookは2015年に報道で個人情報流出を知った際、関係者にデータ削除を正式に要請し、関係者もそれを受けたが、今回の報道で削除されていなかったことが分かったと説明する。
同社は、米デジタルフォレンジック企業のStroz Friedbergに調査を依頼した。Stroz Friedbergは、この問題の関係者であるCA、CAにユーザーの個人情報を不正に売却したGSRの経営者であるアレクサンドル・コーガン博士、メディアにCAの情報を提供した元CA従業員のクリストファー・ワイリー氏の三者を、2015年に削除したとしながらまだ保持していると報道された個人情報について調査する。ワイリー氏以外は調査を受け入れたという。
Facebookは「われわれは、ユーザー情報を保護するためのポリシーを積極的に実施すると約束する。また、ユーザー情報の収集を求めるサードパーティー製アプリについては、ポリシーに違反していないかどうか厳しく審査していることを明確にしておきたい」と語った。
CAは公式Twitterアカウントで、米Forbesの「問題はCAではなく、Facebookにある」という記事へのリンクを添えて「SNSからのデータを調査に利用しているのはCAだけではない。多数の企業、研究者、大学が意思決定のためにユーザーデータを利用している」とツイートした。
Facebookの現在のシステムではポリシー違反が発覚するのは個人情報が流出した後になる。だが、ユーザー情報に基づくターゲティング広告はFacebookの主要な収入源になっており、サードパーティーによるユーザー情報収集になんらかの制限をかけるようになれば、売り上げに大きな影響を与えるだろう。
Facebookの株価はこの件の報道後、急落した。
米連邦議会のロン・ワイデン上院議員(オレゴン州選出、民主党)は同日、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOへの公開書簡で、4月13日までにこの件に関する質問に回答するよう要請した。
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