なぜここまで話題に? 「漫画村問題」を改めて整理する:ITりてらしぃのすゝめ(3/3 ページ)
海賊版サイト「漫画村」をめぐる問題が話題だ。今、一体何が起こっているのか。改めて問題点を整理したい。
“そこ”に至るまでの経緯:これはもはや「政治問題」
最後に、ブロッキングに至るまでの経緯に関しても、1つのポイントとして注目すべきでしょう。そもそも海賊版サイトに対する解決作として、法律を侵害してまで「ブロッキングを行う」というのは稚拙で、IT技術や一般的な捜査手法でできることがあったはずなのです。
なぜブロッキングという結論に至ったのか、そしてなぜNTTがこれにすぐに同調したのかなど、これから明らかになっていくでしょう。
漫画村だけでなく、今後「多くの人がブロックを容認する」サイトは、このままだと簡単にブロッキングされてしまうかもしれません。私自身、中国、上海に旅行したときに普段見ていたサイトに接続できないという状況を体験し、インターネットのあるべき姿とは何かを考えてしまいました。この点に関して個人で何かができるわけではありません。しかし、問題として無視してはならないと思っています。
では、私たちに何ができる?
今回の問題はトピックが多岐にわたるだけでなく、もはや私たち個人/家族にできることが何なのかすらも分かりにくいものになってしまいました。それでも、私が考えられることは2つあります。
1つは海賊版に対して、大人がモラルを語るべきだと言うこと。漫画村が集めた閲覧数は破壊的で、そこまで見られているということはもはや「モラルに頼ることは無意味」という意見もあるでしょう。
しかし、やはりモラルを無視すべきではなく、特に親世代ならば、あるべき論を語るべきだと私は思っています。例えそれが無意味であっても、私たちは子供世代に対し、手本とならなくてはなりません。海賊版サイトを親が率先して使う姿は、他人には絶対に見せてはならないのです。
もう1つは、「通信の秘密」という私たちの権利を知ること。過去、世界では手紙を検閲された時代もありましたが、今では私たちは通信をのぞかれないことが当たり前だと考えています。
しかし、それは多くの先人の知恵や努力によって得られている、薄氷の上に成り立っている「権利」であると今回の問題で再確認できました。まずは「通信の秘密」という言葉を知り、それを維持するために知識を付けていくべきなのです。
そのためには、今回の問題を単なる「海賊版サイト」だけではなく、自分たちのすぐ近くにある問題として認識しつつ、多くの視点で語られる情報を満遍なく見て、自分なりの考えを持つことが重要です。
海賊版サイトだから法を無視してもつぶすべきだとか、自分自身の考えが固まらないうちに、声の大きな人に迎合し、行きすぎた正義感を丸出しにすることは危険です。
もちろん、私がざっくりとまとめたポイント以外にも課題はありますし、私が考える正しいことと、他の人の考える正しいことは違うかもしれません。だからこそ、最新の情報をインプットし、自分なりの考えをアウトプットすることが重要だと思います。漫画村問題を通じ、ぜひ、ご家族で会話をしてみてください。
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