ロシアが大統領選介入に使った約3500点のFacebook広告を米議会が公開
米大統領選介入に使われたとされるロシア政府関連企業がFacebookやInstagramで表示した約3500点の広告を米議会が公開した。
米議会下院の情報問題常設特別調査委員会は5月10日(現地時間)、ロシア政府につながるプロパガンダ企業IRAが2015年からFacebookやInstagramで表示した約3500点の広告データを公開した。
米Facebookが昨年9月に議会に提出すると発表したものだ。
これらの広告は、IRAが立ち上げた470のFacebookページによる、2015年4月から2017年5月までに表示されたもの。四半期ごとの圧縮ファイルになっており、広告ごとのPDFにはその広告の画像、ID、表示URL、ターゲティング、クリック数、コストなどがまとまっている。
IRAは広告以外に8万件の投稿をした。調査委員会は広告以外の8万件の投稿についても今後公開する計画。
最も見られた広告は、2017年10月に表示された、警察を支持しようというキャンペーン広告。ターゲットは警察に興味がある成人で、133万インプレッションをかせぎ、7万3000回クリックされた。
選挙後に最もクリックされた広告は、メキシコやラテンヒップホップ音楽に興味のあるスペイン語を使うユーザーをターゲットとしたBrown Powerというグループ名で投稿した広告で、5万6000クリックだった。
多くの広告は人種差別や移民問題、政治など、米国民の意見を分断しそうなテーマのものだが、うわさ全般を扱うFacebookページのコミカルなイラストの広告などもある。
これらの広告は、2016年の米大統領選の結果に影響を与えたとされている。選挙は11月に実施されたが、広告は2015年から投稿されており、4月ごろからクリックが増えていた。米国では11月に中間選挙が実施される。
Facebookは広告公開に合わせ、広告規制や偽アカウントによるページの削除など、取り組んでいる対策について再度説明した。
関連記事
- Facebook、社会を分断するような問題広告に認可制度、ページの“身元確認”も 選挙介入対策で
Facebookが、ロシアによる米大統領選への介入のような問題の再発防止対策の一環として、社会を分断するような問題広告(issue ads)の広告審査を厳しくし、問題広告ラベルと広告主情報の明示を義務付ける。また、フォロワーの多いページの審査を6月から実施する。 - Facebook、ロシア疑惑関連アカウントとページを合計273件削除したと報告
米大統領選でのロシア介入問題で批判されているFacebookが、ロシアプロパガンダ企業IRAのFacebookとInstagramのアカウントと、Facebookページを合わせて273件削除したと発表した。 - FacebookやInstagramを使い、米大統領選に介入 ロシア人13人を起訴
起訴されたロシア人13人はSNSに虚偽のアカウントを開設し、「米国に対する情報戦争」を展開していたとされる。 - Facebook、ロシアプロパガンダ企業への「いいね!」を確認するツール追加へ
米大統領選へのロシアによる介入に悪用されたとして米連邦政府から改善を求められているFacebookが、ユーザーが自分がロシアによるページやInstagramアカウントを知らずにフォローしていたかどうかを確認するツールを年内に提供すると発表した。 - 日本も安心できない? 米大統領選のロシア干渉疑惑にみる「ネット情報工作の現在」
SNSの規約を守って巧妙に行われた情報操作が、徐々に明らかになってきました。 - Facebook、ロシア政府につながる可能性のある広告を米連邦議会に提出すると発表
2016年の米大統領選の結果に影響を与えたと批判されているFacebookが、独自調査でロシアが関与している可能性が判明した広告データを米連邦議会に提出すると発表し、マーク・ザッカーバーグCEOがライブ動画で今後の取り組みについて説明した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.