うどん屋「ドタキャン受けた」とTwitter投稿 「気の毒」と拡散したが、店も加害者も架空
「50人分の料理を用意したら、ドタキャンされた。国際信州学院大学の教職員の皆さん、二度と来ないでください」――「うどん屋」を自称するアカウントによるこんなTwitter投稿が話題になったが、このうどん屋も大学も、架空のものだ。
「50人分の料理を用意したら、ドタキャンされた。国際信州学院大学の教職員の皆さん、二度と来ないでください」――「うどん屋」を自称するアカウントによるこんなTwitter投稿が5月13日夜から話題になり、「気の毒」などと同情が集まった。
実はこのうどん屋も大学も実在せず、巨大掲示板「5ちゃんねる」のユーザーたちによる創作。架空の店舗のドタキャン問題が拡散・炎上したこの騒動について、「秀逸な釣りネタ」などと評価する声がある一方、「実際にドタキャンに苦しんでいる飲食店のことを思うと笑えない」「フェイクニュースで人をだますことは簡単だと証明する事例だ」などと批判したり心配したりする声も出ている。
ツイートを投稿したのは、「うどんや 蛞蝓亭」(なめくじてい)を名乗るアカウント。12日に「明日は夕方から貸し切り予約が入っているため一般のお客様はランチタイムで終了となります」と投稿した上で、13日夜、「無断キャンセルに合いました。50人で貸切の予約で、料理を準備してお待ちしてましたが、予約時間過ぎても見えず、此方から電話するとキャンセルとの返事。キャンセル料を請求したら、そんな説明は受けていないと逆ギレ。国際信州学院大学の教職員の皆さん、二度と来ないでください」と、料理や店内を写したとみられる写真とともにツイートした。
ツイート見た人の中には、「ひどすぎる」「気の毒」と同情したり、「人に教える立場の人間が何をやっているんだ」と怒ったり、「食べに行きましょうか? もちろんお代も払います」と申し出る人も。「食べに行く」と申し出た人に対して蛞蝓亭のアカウントは、「時間が経つとすぐに傷んでしまうので、泣く泣く廃棄しました」などと丁寧に断っていた。
実はこの「うどんや 蛞蝓亭」も「国際信州学院大学」も実在しない。「国際信州学院大学」は公式サイトがあるが、このサイトは「5ちゃんねる」の「ニュー速VIP」板ユーザーによって創作されたもの。今年1月「架空の大学を作って受験生釣ろう」という“ネタ”に共感したユーザー達によって構築された。
国際信州学院大学の学生や教職員、大学の周辺店舗を名乗るTwitterアカウントも複数運用されており、「うどんや 蛞蝓亭」は4月に運用がスタートしていた。5月上旬、「国信大教員たちの宴会予約が入って料理準備もしたけど当日バックれられたネタで炎上させよう」という提案があり、うどんや 蛞蝓亭を運用するユーザーが、今回のドタキャンツイートを投稿したようだ。
ドタキャンツイートが拡散し始めた当初は、実在の店舗が、実在の大学職員によるドタキャン被害にあったと信じる人も多かったが、真相に気づいた人がネット上でネタばらしを行い、架空の店舗による架空のツイートだったという事実が拡散しつつある。
この騒動について、「実在の店舗だと思っていた。だまされた」と悔しがる人や、「秀逸な釣りネタ」「国際信州学院大学のサイトは改めているとよく出来ていて、面白すぎる」など評価する声もある一方、「実際にドタキャンに苦しんでいる飲食店のことを思うと笑えない」「フェイクニュースで人をだますのは簡単だと証明する事例だ」などと批判・心配する声も出ている。
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