書店に合わせてAIが本を選ぶ「Seleboo」 日販と富士通が共同開発
日本出版販売と富士通が、書店の客層や売り場のコンセプトなどに合わせてAI(人工知能)が自動で本を選ぶサービス「SeleBoo」(セレブー)を共同開発したと発表。2018年夏から日販の取引書店向けに提供する。
日本出版販売(以下、日販)と富士通は5月14日、書店の客層や売り場のコンセプトなどに合わせてAI(人工知能)が自動で本を選ぶサービス「SeleBoo」(セレブー)を共同開発し、2018年夏から日販の取引書店向けに提供すると発表した。書店の店頭フェアやイベントでの活用を見込む。
SeleBooは「Select Book」の略。日販が持つ約350万点の書誌情報や全国約3000店の書店の販売実績情報に加え、Wikipediaから情報を抽出してオープンデータ(Linked Open Data)として公開する「DBpedia」、世界中で公開されているLinked Open Dataを検索できるサービス「LOD4ALL」などを元に、富士通のAIを使ったビッグデータ分析サービス「マーケティングAIコンテナ」で分析する。
国内で流通している約60万点の書籍から売り場のテーマや客層に合わせて本を選び、リスト化。選書結果に対する書店員の評価をフィードバックして機械学習に利用し、選書能力を高めるという。
まずはテーマに合わせて本を選ぶ「キーワード選書」、指定した本と似た本を選ぶ「キーブック選書」、地域に関する本を選ぶ「地名選書」を提供。その後、書店の特徴に合った本を選ぶ「書店カラー選書」や画像イメージから選ぶ「表紙選書」なども開発する見通し。
今夏からSeleBooで選定した書誌リストを元に、日販が全国の取引書店へ書籍を提案し、書店の店頭フェアやイベントなどに活用するという。「各書店の独自性を打ち出す新しい戦略を支援する」(日販)
今後、日販と富士通はSeleBooを通じて出版市場の活性化を図るとともに、カフェや雑貨店など他業界の商品やサービスと書籍のマッチングによる新しいビジネスモデルの確立も目指すという。
関連記事
- 人工知能で「手書きの漢字」認識 部首を学んで賢く 富士通が開発
中国語の手書き文字列を高精度で認識するAI技術を富士通が開発。日本語にも応用でき、手書き帳票の電子化などで活用を見込む。 - 4つのAIで“利用者に寄り添う”対話ロボットへ 富士通が提供開始
富士通が同社や協力企業のAI技術を「ロボットAIプラットフォーム」として体系化。ユニロボットのコミュニケーションロボット「unibo」と合わせて、企業へ提供する。 - AIが自動着色した「カラー版漫画」配信 白泉社
AIの線画自動着色サービス「PaintsChainer」を活用したカラー版漫画の配信・販売を、白泉社と博報堂DYデジタルが始めた。 - 丸善ジュンク堂書店で「dポイント」と「Pontaポイント」利用可能に 「hontoポイント」と同時にたまる
丸善ジュンク堂書店が4月16日、NTTドコモの「dポイント」とローソンなどで使える「Pontaポイント」を関東圏の26店舗の書店で利用可能にしたと発表。書籍や文具の購入時に、hontoポイントといずれかのポイントの2種を同時にためることができるという。 - 「岩波ブックセンター」跡地に新書店 「神保町ブックセンター with Iwanami Books」4月開業へ
「岩波ブックセンター」跡地に新書店今年4月、書店・コワーキングスペース・喫茶店の複合施設「神保町ブックセンター with Iwanami Books」がオープンする。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.