「人間のアビリティを拡張したい」 シフトール岩佐氏(2/2 ページ)
Cerevo(セレボ)設立10周年記念イベントで、創業者の岩佐琢磨氏、岩佐氏の後を継いだ青木和律代表、ABBAlabの小笠原治代表が座談会を行った。後の技術動向について、趣味全開のトークを繰り広げた。
もっと「加速」したくはないか、人類
座談会のテーマは2020〜30年ごろのハードウェアトレンド予想に移る。小笠原氏は「今後、数年から十年程度で“操作がなくなる”」と大胆予想。スマートスピーカーの音声操作のように、現在は機器の操作を簡単にする企業たちが成長しており、その流れは加速するという。「20年後、(タッチ操作の)スマートフォンはなくなっているでしょう。(ウェアラブル機器などに)機能がバラバラになるのでは?」(小笠原氏)
岩佐氏も「自動運転技術に関する話題が増えたが、あのテクノロジーが家電の世界に降りてくる。例えばコーヒーカップなら、飲みたいときに側にあり、ずっと暖かい。“フル自動化”される」と予想。明確なユーザーインタフェースはなくなり「人の自然な動作や行動に対する(機械の)フィードバック(として動作する技術)が進歩すると思う」(小笠原氏)
さらに岩佐氏は「シフトールでやるか分からない」と前置きした上で、2030年ごろに人間の能力を向上させる機器が登場すると予想した。「人体拡張が面白くなると思う。例えば視力が5.0になる機器、人の代わりに記憶するヘッドバンドなど。ヘッドバンドのカメラが常時録画していて、『あの結婚式で司会した人は誰だっけ』といえばキーワードで検索してくれる。いわば人類の加速、エンハンスド・アビリティです」
実は「ソードアート・オンライン」や「アクセル・ワールド」(いずれも川原礫さんによるライトノベル)の世界が好きという岩佐氏。アクセル・ワールドは思考を1000倍に加速した世界で繰り広げられる物語だが、現在の人たちも人体拡張や加速を体験していると指摘する。「視力が0.1の人はメガネがないと大変だし、キーボードが生まれたおかげで手書きより早く文章を書ける。例えば本を10倍早く読めるメガネとか、人間のアビリティを拡張するものを作ってみたいですね」(岩佐氏)
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