ランサムウェア「WannaCry」が復活? 英で偽の脅迫メール出回る
WannaCryが世界中で猛威を振るってから1年あまり。専門家は、この機会にバックアップなどの対策を改めて徹底するよう呼び掛けた。
英国のサイバー犯罪対策機関Action Fraudは6月21日、1年前に世界で猛威を振るったランサムウェア「WannaCry」をかたってユーザーを脅迫しようとする詐欺メールが出回っているとして、注意を呼び掛けた。この日だけで200件を超す報告が寄せられているという。
Action Fraudが掲載したスクリーンショットによると、詐欺メールは英文で、「WannaCryが復活した! あなたのデバイスは全て、われわれのプログラムによってハッキングされた。この攻撃後にデータを復旧することはできない」などと主張。「6月22日の午後5時〜10時の間に、コンピュータやサーバやモバイル端末に保存された全データを削除する」と脅し、「0.1ビットコインを支払えば、データの消去は免れる」としている。
英ITサービス企業のPro-Networksも同日、この詐欺メールが広く流通しているという報告が相次いでいると伝えた。内容については「パニックを引き起こして身代金を払わせようとする中身のない脅し」と指摘している。同時に、この機会に改めてバックアップを見直すよう呼び掛けた。
WannaCryは2017年5月に世界で猛威を振るったランサムウェアで、被害者のファイルが暗号化され、身代金を脅し取られる被害が世界各地で続発した。英国では病院などが機能不全に陥る事態も招いた。
しかし、今回出回っている詐欺メールについては、英ITニュースサイトのThe Registerは「全くのナンセンス」と位置付け、作者のビットコインウォレットはゼロのままだと指摘。それでも、こうしたメールに記載されているリンクを開いたり、添付ファイルを開いたりすることは決してしないようアドバイスしている。
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