「映画館でVR」エヴァにおそ松さんも 5.1chの臨場感 VAIO、東映らが提供
VAIO、東映、クラフターの3社が7月2日から「新宿バルト9」でVR映像を鑑賞できる「映画館でVR!」の提供を始める。コンテンツは「evangelion:Another Impact(VR)」「おそ松さんVR」「夏をやりなおす」の3本立て。スタンドアロン型のヘッドセットと映画館の5.1chスピーカーの音響を活用し、大勢で一体感を共有しながら楽しめるという。
VAIO、東映、博報堂グループの映像コンサルティングスタジオ・クラフター(東京都港区)の3社は6月26日、映画館でVR映像を鑑賞できる「映画館でVR!」の先行体験上映を7月2日に新宿バルト9で始めると発表した。クラフターの古田彰一社長は「劇場品質の音でコンテンツを提供し、ホラーなら悲鳴、コメディーなら笑い声など周囲の反応を感じられるので、大勢で一体感を共有できる」と訴求する。
映画館でVR!は3社が2017年12月に発表した、VRを映画館で楽しめる共同事業「VRCC」(VR Cinematic Consortium)による取り組み。
シアターの入り口で係員から受け取ったVRヘッドセットを、スクリーン投影されたガイダンスムービーに従ってシアター内で装着。コントローラーやヘッドフォンは使用せず、観客自身で操作する必要はほとんどないという。ヘッドセットを装着したら、そのまま席に座って鑑賞できる。
上映作品は、庵野秀明監督が代表を務める映像会社・カラーとドワンゴが作成したアニメ「evangelion:Another Impact」をVR化した「evangelion:Another Impact(VR)」、ゲームセンターなどで公開していたアニメ作品「おそ松さんVR」、クラフターのオリジナルVRアニメ作品「夏をやりなおす」の3本立て。上映時間は、3本とガイダンスムービーを合わせて約30分、チケット料金は1500円。
約1カ月、新宿バルト9の「シアター7」で1日2回上映予定。観客動員数を見ながら上映回数を調整する。チケットは6月30日午前0時から、通常の映画のチケット同様オンラインや映画館で購入可能。
観客に渡すヘッドマウントディスプレイは、中国・Pico Technology製。スタンドアロン型で解像度は2880×1600ピクセル。6DoF(前後、左右、上下と、回転方向を示すピッチ、ヨー、ロール)を認識できるため没入感のあるVRを楽しめるという。
VAIOは、コンテンツ保護や誤作動防止、観客自身による操作の軽減などのために、ヘッドセットをカスタマイズ。ネットワークやソフトウェアなどの開発も担う。映画館側は既存設備に無線アンテナとサーバを設置するだけで済むため、簡単にVR上映システムを導入できるという。
東映はシネコンへのコンテンツ供給に加え、VRコンテンツの調達や製作も行う。「仮面ライダー」などの特撮作品や「プリキュア」などのアニメーション作品など、人気IPの活用も見込む。
東映の村松秀信さん(取締役企画調整部長)は「今後の上映作品については、テスト上映の結果次第で考える。東映が持つ特撮作品やアニメーション作品のVRにも取り組みたい。今はVRを体験してもらうのは30分ほどが限度なので、(長尺な作品の)一部をVR化することなども将来的には考えたい」と話した。
クラフターも、VRコンテンツの製作や調達を担当。同社の古田社長は「VRCCの興行スタイルは、良いコンテンツがたまったら興行する『STOCK&GO』。よりすぐったVRを最適なタイミングで公開できるので、通常の映画と共生し、(映画館側は)興行の隙間時間を活用できる」と話す。
VRCCでは今後、清水崇監督のホラー作品「呪怨」や、音楽ライブ、ドキュメンタリーなどさまざなVR映画の公開を検討しているという。
またVRCCは3社だけで完結せず、積極的にパートナー企業を募集するとしている。VRコンテンツを制作したいクリエイターや映像制作プロダクション、VRコンテンツを劇場で公開したいコンテンツホルダー、劇場にVR映画システムを導入したい興行主などをパートナーにすることで、映画館でのVR鑑賞を普及させる考えだ。
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