Gunosy、新体制へ 福島CEOはブロックチェーン新会社の代表に
ニュースのキュレーションサービスを運営するGunosyが、経営体制の変更を発表。代表取締役2人体制だったが、竹谷祐哉COOの1人代表体制に。福島前代表はブロックチェーン関連の新会社の代表取締役に就く。
情報キュレーションサービスを提供するGunosyは7月12日、代表取締役CEOを務める福島良典氏の退任を発表した。後任は竹谷祐哉COO(最高執行責任者)が務める。同社はこれまで両氏による代表2人体制だったが、福島現CEOが代表権を失い、竹谷COOの代表1人体制に。福島CEOはブロックチェーン事業関連の新会社で代表取締役に就任する。
体制変更の理由について、福島CEOは「役割分担と責任を明確化するため」と説明。これまでは福島CEOがGunosyの長期的な戦略を考え、竹谷COOが実際のメディア、広告事業を取り仕切っていた。
新体制では福島CEOはブロックチェーン関連の新事業に注力。割り勘アプリ「paymo」を運営するAnyPay(東京都港区)と共同で、新会社「LayerX」(レイヤーエックス、出資はGunosyとAnyPayで折半)を8月1日に設立する。
福島CEOは「これまでもブロックチェーン技術については研究を続けてきたが、今後は100%注力しないと(この需要を)逃してしまう。Gunosyの将来を考え、この決断をした」と意気込みを語る。
新会社LayerXでは、Gunosyの技術力とAnyPayのICO(Initial Coin Offering/仮想通貨による資金調達)に関するコンサルティングのノウハウを武器に、ブロックチェーン技術に特化したコンサルティングやサービス開発などを展開する。
具体的には、独自トークン(独自通貨)の設計や実装のコンサルティング、他社との共同研究、新サービスの実証実験などを行う。
また、スマートコントラクトのハッキングを防ぐコード監査も実施。スマートコントラクトは、あらかじめ契約の定義をプログラム化しておき、実際に契約を行う取引プロセスを自動化できる仕組みで、バグが入り込むと容易に修正できないという。
福島CEOは「スマートコントラクトは事前のセキュリティチェックがすごく大事で、いろんな契約がコードで書かれるようになると監査の必要性が出てくる」と強調する。
ブロックチェーンは「インターネット以来の革命」
ブロックチェーン技術の特徴は、非中央集権型で特定の事業者を介さずにさまざまなサービスを実現できること。福島CEOは「インターネット登場以来の革命といえる。いまはICO市場と共に投機的な盛り上がりを見せているが、テクノロジーカンパニーとしては技術的な可能性に賭けていく」と思いを語った。
ICOを巡っては、具体的なプロダクト(サービス)がない状態で資金を集め、調達後もプロダクト化されないといったケースが問題視されていた。また、資金使途の多くが開発費に充てられる一方で、ブロックチェーン技術を理解し、サービスを実装できるエンジニアは不足しているという。情報アプリ開発で培った機械学習に関する技術などの蓄積があるGunosyは、そこに目を付けて参入を決めた。
「これからは技術的理解が求められる時代になる。いろんな実用例を企業に見せていかないと、本当にバブルのような盛り上がりで終わってしまう」(福島CEO)
Gunosyとしてもリサーチチームを作り、プロトコル研究などを続けてきたという。「Gunosyには日本国内でトップクラスのブロックチェーン事例が集まっている」(福島CEO)
中長期的には各サービスの土台となるプロトコル開発に注力し、パートナー企業と共にブロックチェーン技術を活用したサービス事例を示すことで提携先を拡大していく考え。福島CEOは「仮想通貨の取引所などを始めるわけではなく、将来のベースとなる技術的ルール(プロトコル)を開発するのが狙い」とした。
「日本国内に同様の事業を行う企業はない。技術、法律、ビジネスなど総合的にブロックチェーンについて考え、ワンストップでサービスを開発できるのはものすごい付加価値になる」(福島CEO)
キュレーションサービス「グノシー」や「ニュースパス」といった情報サービスは、アプリのラインアップを増やし、ユーザー数の底上げを図る方針。既存のメディア・広告事業を伸ばしつつ、新規で行うブロックチェーン事業や投資事業も収益の柱として育てていく計画だ。
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