テレビやラジオの音声、スマホに字幕表示 ヤマハなど実用化に向け連携
ヤマハがNICTや全国の放送局16社と連携して、テレビやラジオの放送内容をスマホに字幕表示する取り組みを始める。視聴覚障害者や高齢者でも情報アクセスの機会を平等に得られるようにする狙い。
ヤマハは7月24日、情報通信研究機構(NICT)や全国の放送局16社と連携し、テレビやラジオの放送内容を視聴者のスマートフォンで字幕表示する取り組みに着手すると発表した。スマホをセカンドスクリーンとして活用し、視聴覚障害者や高齢者でも平等に情報を得られるようにする。
現在の字幕放送は、放送画面に字幕を重ねるため画面が見づらく、また対応機器を導入する必要がある。また放送局側も字幕放送に対応するコストが負担になっている。
音を使って情報伝達を可能にするヤマハの「SoundUDクラウド」システムを活用、テレビやラジオの音声に字幕情報を受信するための「トリガー」をミックスして放送する。システムに対応した「おもてなしガイド」(iOS/Android、無料)などのスマホアプリがトリガーを認識すると、トリガーのIDに応じた字幕を受信し、アプリ画面に表示する仕組み。視聴者がチャンネルを切り替えると字幕も追従し、放送音声に聴覚上の変化はないという。
字幕テキストの提供にはNICTの音声自動認識技術を活用。ニュースや報道番組ではアナウンサーが発話した音声を認識して文字情報を提供する「音声認識型」システムを、緊急情報などはインターネットに接続していなくてもあらかじめ登録した字幕情報をすぐに提供できる「定型文型」システムを使用する。
ヤマハやNICTは2018年度中にシステムの構築を進め、視聴覚障害者や高齢者の協力を得て実放送環境での試験を実施する見込み。試験結果をもとにシステムを改善し、2019年度以降の実用化を目指す。
協力する放送局は、テレビ朝日、フジテレビジョン、テレビ東京、中京テレビ放送、福島中央テレビ、テレビ埼玉、テレビ神奈川、群馬テレビ、千葉テレビ、とちぎテレビ、サンテレビジョン、京都放送、エフエム東京、J-WAVE、エフエムナックファイブ、放送大学学園の16局。
関連記事
- 未完成だが大きな可能性 Apple純正アプリ「Clips」を試してわかった自動字幕と可変BGM
自分が撮影したビデオにハリウッドの巨匠がサントラの尺をぴったり合わせてくれるって知ってました? - YouTubeライブに自動字幕(まずは英語)やチャットリプレイ機能
YouTubeライブに、英語での自動字幕追加、ライブチャットの録画再生でも動画プレーヤーの横に表示される機能、モバイルライブでの位置情報タグの追加という3つの新機能が追加された。 - 記者会見を自動で書き起こし、AIで要約 徳島県が実験
徳島県知事の記者会見などを自動で書き起こし、AIで要約する実験がスタートへ。職員が手作業で10時間かけていた会見録の作成を2時間に短縮できるという。 - 保安検査場の待ち時間、スマホアプリで確認 羽田空港で実証実験
JALが、空港のアナウンス内容や保安検査場の待ち時間などをスマートフォンアプリで確認できるようにする実証実験を羽田空港で行う。 - 駅での音声案内、スマホで多言語表示 京急電鉄
京浜急行電鉄が音声案内をスマホで多言語表示する案内サービスの検証を開始した。ヤマハのスマートフォンアプリ「おもてなしガイド」を活用。2020年の東京五輪・パラリンピックの開催に向け駅施設での多言語案内サービスの効果や実用性を検証する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.