ロシアから米中間選挙を守るのは手遅れだ──元Facebookのセキュリティ責任者が警告
MicrosoftやFacebook、Twitterがロシアにつながるドメインやアカウントなどを停止・削除したと発表したことを受け、Facebookの元最高セキュリティ責任者が「これはロシアやその他の米国の敵が、米国の選挙介入は簡単だとまだ考えている証拠だ」と警告し、対策を提言した。
「米国の敵は、われわれの技術と自由を悪用して米国の民主主義を安全に、効果的に攻撃できると考えている」──。今月初頭に米FacebookのCSO(最高セキュリティ責任者)を辞任したアレックス・スタモス氏は8月22日(現地時間)、米政治系ブログメディアLawfareへの投稿でこう警告した。
同氏は2015年6月に米Yahoo!の最高情報セキュリティ責任者を辞めてFacebookのCSOに就任。2016年の米大統領選へのFacebook上のフェイクニュース拡散の影響に責任を感じているという。8月17日に同社を退社し、9月からスタンフォード大学の非常勤教授としてサイバー攻撃についての講座を持つ予定だ。
スタモス氏はこの投稿で、前日の米Microsoftによるロシアによるドメイン中断発表とFacebookによるロシアとイランの多数のページやアカウントの削除の発表に触れ、「これらは、ロシアが選挙介入を諦めていないばかりか、イランまでもが追随していることの証拠だ」と語った。
その原因は米国がこうした問題を真剣に受け止めておらず、西側に情報戦争を仕掛ける加害者など簡単にひねり潰せると世界中に触れ回ったせいだという。
2016年の米大統領選では、法執行機関がロシアからの攻撃を認識していたにもかかわらず、当時のバラク・オバマ政権が適切に対処しなかったとスタモス氏は非難する。現在のトランプ政権の対策の問題についても説明し、「まとめると、このまま行けば米国の選挙は、米国の敵による情報戦争のワールドカップになる危険性があるということだ」と語った。
「2018年の米中間選挙のセキュリティを効果的に守るには既に遅すぎるが、2020年の米大統領選に向けての効果的な対策は4つある」とし、連邦議会によるオンラインの虚偽情報を取り締まる法的基準の策定、連邦政府内のサイバーセキュリティ防衛の責任の所在の再確認、全州政府による選挙システムの保護強化、米国民によるサイバー攻撃に対する迅速な調査要求の4つを挙げた。
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