極右のたまり場と非難されるSNS「Gab」一時閉鎖「新しいプロバイダーに移行して復活する」と予告
銃撃事件の容疑者が使っていたSNSのGabが、「あらゆるレベルのネットインフラプロバイダーからプラットフォームを奪われた」としてWebサイトを一時閉鎖している。
ユダヤ礼拝所銃撃事件で逮捕されたロバート・バウアーズ容疑者が利用していた米SNSのGabは10月29日(現地時間)、Webサイトを閉鎖した。サイトのトップのURLを開くと、「Gabはサービスに必要なあらゆるレベルのネットインフラプロバイダーからプラットフォームを奪われた。われわれは歴史上、もっとも検閲され、塗りつぶされ、非プラットフォーム化された新興企業だ」と主張する長い声明文が表示される。
Gabは、ネット決済企業のStripeやホスティングサービスのJoyent、ドメイン管理業者のGoDaddyなどから取引停止通告を受けたと公式Twitterアカウントで通告メールを添えてツイートしていた。Facebookページも閉鎖され、27日にCEOが書いたMediumの投稿も開けなくなっているが、Twitterのアカウントは本稿執筆現在、まだあり、活発にツイートしている。
Gabには、昨年8月の米バージニア州シャーロッツビルでの極右団体と反対派の衝突による死傷事件に関連してTwitterから締め出されたオルトライト(オルタナ右翼)系ユーザーが多数の移行してきていた。その段階でGoogleおよびAppleはそれぞれのアプリストアからGabのアプリを削除している。
Gabはバウアーズ容疑者の取り調べのために米司法省(DoJ)と米連邦捜査局(FBI)に全面的に協力したという。
「シリコンバレー全体が自分たちと意見を異にする政治的言論に干渉するようになってきている現在、Gabは言論の自由のホーム」だと主張している。
「どんなにわれわれを阻止し、塗りぶつそうとしても、思想を止めることはできない。新しいホスティングプロバイダーに移行するしばしの間、Gabはアクセスできなくなるが、復旧に向けて取り組んでいる」
Gabは2016年8月にアンドリュー・トルバ氏が立ち上げた非公開企業。トルバ氏はGabの前はY Combinatorがバックアップするネット広告企業Automate Adsを立ち上げた。スタートアップ支援サイトのStartengineによると、情報の自由な流れを支えるすべての人種、背景、政治的思想の人々に訴求することがミッションとなっている。
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