全世界の住所を3つの単語に置き換えた「what3words」、ソニーのファンドから資金調達
3つの単語でピンポイントで場所を伝える位置情報技術を開発したイギリスのベンチャー企業what3wordsが「Sony Innovation Fund」から資金調達を実施する。
3つの単語でピンポイントで場所を伝える位置情報技術を開発したイギリスのベンチャー企業what3words(イギリス・ロンドン)は11月6日、ソニーのコーポレートベンチャーキャピタル「Sony Innovation Fund」から資金調達を実施すると発表した。金額は非公開だが、2013年の創業から今回までの累計資金調達額は4350万ポンド(約62億円)に上るとしている。
what3wordsは、全世界を57兆個のグリッドに分け、個々の位置情報を3つの単語で表現する位置情報システム。1つのグリッドは3メートル四方の正方形で、従来の住所では不可能だった細かい位置まで指定できるのが特徴。また音声入力を前提に設計しているため、日本語を含む26の言語に対応し、単語は全て意味のある言葉を用いる。例えば「いちがつ・わたくし・ねむい」という位置情報はSony Innovation Fund東京オフィスビルのエントランス前3メートル四方を示す。
現在はWebやスマートフォンアプリ(iOS/Android)でサービスを提供している他、カーナビなどの音声入力に活用する動きも出ている。自動車メーカーの米ダイムラーは18年始めにwhat3wordsの株を10%取得。6月には日本のカーナビ大手のアルパインも出資した。
また広大な場所でもピンポイントに位置を指定できる特徴を生かし、モンゴル、 ジブチ、 トンガといった国の郵便サービスや、 フィンランドの国土調査、 南アフリカの農村開発・土地改革省のプログラムなど世界中の国・自治体の公的サービスに採用され始めている。とくにモンゴルでは移動しながら生活する遊牧民に物を届けるという社会的課題の解決に貢献しているという。
ソニー執行役員の御供俊元氏は、「what3wordsは、 機械に正確な位置情報を音声で入力するという大きな課題を解決してくれた。 音声起動システムの劇的な普及により、 what3wordsのように、 あらゆるデジタルプラットフォームやチャネルで活用でき、 読み書きにも対応できるシンプルな音声ジオコーダー(住所などから緯度・軽度を取得するシステム)が、 まさに今世の中で必要とされている」とコメントを寄せている。
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