メルカリ、潜在顧客の“掘り起こし”に勝機 「既存のアクティブユーザーの倍はいる」
「メルカリを『使ってみたい』という人は、既存のアクティブユーザーの倍はいる」――メルカリの長澤啓CFO(最高財務責任者)はそう話す。出品カテゴリーを強化し、潜在顧客層を掘り起こす。
「メルカリを『使ってみたい』という人は、既存のアクティブユーザーの倍はいる」――メルカリの長澤啓CFO(最高財務責任者)は11月8日、同社の決算説明会でそう話した。主に20〜30代の女性層を取り込み成長してきたフリマアプリ「メルカリ」だが、ファッション以外にも釣り、クルマなどカテゴリーを強化し、潜在顧客層を掘り起こす。その一方、メルカリに次ぐ柱となる事業の育成を進めるが、要となる決済サービス「メルペイ」の詳細はまだ明かさない。
同社の2018年7月〜9月連結業績は、売上高が105億円、営業損失が25億円。人件費、広告宣伝費がかさんだ。収益の屋台骨は日本国内のフリマアプリ「メルカリ」事業で、売上高は97億円(前年同期比42.7%増)を占める。7〜9月の国内流通総額(GMV)は990億円(同41.4%増)、月間アクティブユーザー数(MAU)は1133万人(同24.8%増)と「継続的・安定的に成長している」(長澤氏)。
「(18年4〜6月期と同等で)58万人のMAUを積み上げている。絶対数を積み上げることを大事にしたい。購入数・単価の上昇もあり、GMVも拡大している」(長澤氏)
長澤氏は、国内メルカリ事業は“伸ばす余地”があるとみている。これまでメインに獲得してきた20〜30代女性層に加え、20代男性、さらに他の年代のユーザーも狙う。そのための施策が、出品カテゴリーの強化だ。
同社は10月、自動車関連SNS「CARTUNE」を運営するマイケル(東京都渋谷区)を子会社化した。CARTUNEは、カスタムカーなどの写真を投稿できるクルマ好きのコミュニティーだ。長澤氏は「活性化されたコミュニティーとつながることで、メルカリ内の特定カテゴリー(この場合はクルマ関連)の流通を伸ばせる」と説明する。
「コスメ・香水・美容」カテゴリーの商品を出品すると、メルカリ内で使えるポイントを付与するキャンペーンも実施した。特定カテゴリーの強化に合わせたテレビCMを展開するなど、潜在的なユーザー層の掘り起こしに余念がない。
出品がしやすいように、サービスの機能改善も進める。同社は5月、メルカリアプリに「バーコード出品機能」を追加した。本やCDなどのバーコードをスマホカメラで読み取ると、商品の情報が自動入力されるという機能だ。バーコードが付いた商品のGMVは、5月と比べると9月時点で約5.5倍にアップしたという。
長澤氏は「メルカリの特徴は、1回使えば『簡単に出品できる』と実感してもらえ、繰り返し利用してもらえることだ。その認知がまだまだ重要と考えている」と強調する。
期待の「メルペイ」、詳細は明かさず
一方、国内メルカリ事業に続く柱の育成にも力を入れる。子会社を通じ、開発を急ぐ決済サービス「メルペイ」が代表例だ。ユーザーのメルカリIDと連携し、メルカリで得た収入やポイントなどを「メルペイウォレット」で一括管理できるようにする。ただ、長澤氏は「ローンチのタイミングなどは、万全の準備ができた段階で公表する」と説明。前回の決算説明会(8月時点)と変わらず、肝心なサービス詳細は見えない。
決済サービスは、ヤフー、楽天、LINEなどが相次いで参入し、競争が激化している。そうした中、後発となるメルペイの強みは何か。長澤氏は「(他と比べて)モバイル決済の仕組み自体は大きく変わらないが」と前置きした上で、(1)メルカリの売上金を決済に使える(既存のメルカリユーザーならウォレットを一から開設しなくて済む)、(2)メルカリの取引履歴・評価など信用情報を活用し、金融サービスなどへの展開が見込める――という特徴を挙げる。
また、海外事業(米国メルカリ事業)は、18年4〜6月のGMVが7100万ドル(約80億円)と前年同期と比べて77.2%伸びた。「同等の投資額で運営を続けているが、そうした中でGMVが積み上がっているのはポジティブに捉えている」(長澤氏)。オンライン広告だけでなくラジオ・看板などオフライン広告を展開するなど、マーケティング施策が功を奏し、ユーザーアクティブ率の向上、新規購入者の増加、既存購入者の活性化に結び付いたとしている。
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