街で見かける「あの文字」はフォントじゃないかもしれない? フォントと書体の“あるある”勘違い:デジタルネイティブのためのフォントとデザイン(3/3 ページ)
街角やビジネスの現場など身のまわりにある文字をきっかけに、フォントとデザインの世界を案内する新連載。今回取り上げるのは、ある書店のロゴ。
「フォント」と「書体」は異なるもの
さて、皆さんはフォントをどんなものだと考えているだろうか。「フォント=書体」かといわれると、実は少し違う。
フォントと書体の違いについて、「文字百景」という小冊子の079号で森澤茂さんが書かれているご意見を紹介する。森澤さんによれば、書体は「ひと」そのものであり、フォントはその「ひと」が持っている「ボキャブラリー」だという。つまり、フォントとは「ある書体の・あるシリーズの・ある大きさ」のセットだということだ。
例えば、ある文字について「この書体はスタンダードな明朝体だね。フォントはリュウミンR-KLで、規格はPro6。Pro6は文字数が多くて結構難しい漢字も変換できるから、住所録をつくるのに良さそうだね」などと説明することができる。
最後に、このことをもっと分かりやすくアレンジしている「フォント男子!」という連載コミックを紹介しよう。「書体=ひと」としての存在を、フォントにキャラクターを与えることで「ボキャブラリー=性格付け」という学園ストーリーに仕立てたことは、結構すごいことなのである。
連載第1話のなかで主人公が「夢は立派な“書体”になることです!」と自己紹介の練習をしているシーンなど、分かりやすさと正しい定義を両立させている、よい例えだ。
フォントメニューで追えないほどの膨大なフォントに振り回されるのではなく、フォントであふれる世界を楽しみながら、次回からはフォントそのものについての実践や探検をしてゆく予定である。
<参考文献>
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