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「音声の役割見直したい」──TBSラジオ、“聞く情報”研究する「Screenless Media Lab」設立

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 TBSラジオは3月29日、聴覚情報の伝え方を研究する「Screenless Media Lab」(スクリーンレスメディアラボ)を設立した。所長には音声情報について研究している社会学者の堀内進之介さんを迎え、TBSラジオが培ってきた音声情報伝達の経験則を科学的に体系化することなどを目指す。


左からエンジニアの吉岡直樹さん、TBSラジオ三村孝成代表取締役社長、堀内進之介所長、塚越健司さん

 三村孝成代表取締役社長は、「例えば、ラジオから情報を得た商品の返品率はすごく少ない、ラジオパーソナリティの話はリスナーをなんとなくその気にさせる──など、経験則はあるが、なぜそうなるのか心理的メカニズムに疑問があった」という。

 そんな中、音声情報について研究している堀内さんの著書を読み、「音声は購買意欲が芽生える前にアプローチできる」ということを知り、堀内さんと話してラボの設立を決めたとしている。

 「視覚情報は一覧性がある代わり、受け手の全員に同じものを見せるため、スルーされやすい欠点もある。聴覚情報の場合、受け手は強制的に想像しなければいけなくなることから、視覚情報に比べて受け手の意欲にアプローチしやすい」(堀内所長)

 研究チームは、堀内所長の他、堀内所長と共著者でエンジニアの吉岡直樹さん、社会学者でTBSラジオにも出演する塚越健司さんの3人。

 ラジオ番組を通した実地的な研究の他、論文誌へ掲載できる論文執筆も視野に入れる。研究の経過や成果については、TBSラジオ番組「荻上チキ Session-22」の1コーナーとして4月5日から毎週報告するという。

 堀内所長は、「情報があふれる中、“情報疲れ”や“SNS疲れ”など指摘されるように情報への無関心化が起きている。音声の役割を見直し、整理することで、人々の意欲や関心を呼び起こすことに役立てられるのではないか」と研究の趣旨を語る。


ラボの研究主題

 「聴覚情報だけをたくさん受け手に浴びせるということではなく、視覚情報と聴覚情報のバランスを見直すことで、人々の生を豊かにできれば」(同)

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