英政府、ネットの有害投稿規制でプラットフォームに罰金へ
英政府が、インターネット上の有害投稿を規制するための提案「Online Harms White Paper」を公開した。プラットフォーム企業による投稿管理を義務付け、違反した場合は罰金を課す。
英政府は4月8日(現地時間)、インターネット上の有害投稿に関する白書「Online Harms White Paper」(リンク先はPDF)を公開した。デジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)と内務省が共同で作成したもので、ネットの安全を守る目的で、独立規制機関の設立や有害投稿を管理できないプラットフォームへの罰則などを提案している。
白書の主な提案は以下の通り。
- SNSやネット企業などのプラットフォームが守るべき「行動規範」を定め、監視するための、独立した規制機関の設立
- 規制機関に、規制に違反したプラットフォームに罰則や罰金を課す権限を与える
- プラットフォーム企業の幹部への罰金、ISPへの違反サイトブロック命令などの執行権限の検討
DCMS担当大臣のジェレミー・ライト氏は発表文で「オンライン企業による自主規制の時代は終わった。(中略)われわれの提案は、英国を誰もがインターネットを安全に楽しめるようにするために役立つだろう」と語った。
テリーザ・メイ首相は、「インターネットは世界中の人々を結びつける素晴らしいものだが、それを担う企業らはこれまで、あまりにも長い間、人々を有害なコンテンツから守る対策を十分に行ってこなかった。(中略)オンライン企業は自社のプラットフォームに責任を持つ必要がある」と語った。
ネット上の有害投稿規制については、米Facebookや米Google傘下のYouTubeなどが迅速に対応できていないとたびたび批判されている。特に3月15日にニュージーランドで発生した乱射事件のライブ動画が拡散したことが問題になっている。
Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは3月30日、「インターネットの規制強化には、各国政府と規制当局がより積極的な役割を担うことが必要だ」と語った。
この提案は12週間の討議を経て、7月1日に最終案にまとめられる見込みだ。
関連記事
- FacebookのザッカーバーグCEO、「ネット規制強化は政府が主導すべき」
Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOがWashington Postに寄稿し、安全なプラットフォームを持続するためには、政府による規制の基準とガイドラインが必要だと主張した。 - ニュージーランド乱射動画の拡散はなぜ止められないのか 元Facebook幹部が解説
ニュージーランドで50人を射殺した犯人がFacebookライブ動画で配信した犯行動画が、YouTubeやTwitterで拡散した。各社がこうしたコンテンツを完全にブロックできない問題について、元Facebookの最高セキュリティ責任者がツイートで解説した。 - FacebookのザッカーバーグCEO、「中間選挙に備えてはいるが、政府や他社との協力が必要」
Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOが、来る米中間選挙に向けて2016年に米大統領選挙での問題を繰り返さないために取り組んでいる対策についてのFacebookノートを投稿した。この“軍拡競争”に勝つには他社や政府との協力が必要としている。 - EU、侵害コンテンツ削除などを盛り込んだ著作権指令正案で合意、2020年にも施行へ
欧州連合(EU)の著作権指令改正案が合意され、2020年にも施行される見通しになった。Googleなどのいわゆる“プラットフォーマー”は著作権侵害コンテンツの掲載を未然に防ぐことを義務付けられる。また、Google Newsなどに掲載するメディア記事の利用料支払いも義務付けられる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.