「走行距離変わらず、収入増に」 AI活用のタクシー配車サービス「DiDi」、東京に進出 年内には全国13都市へ(2/2 ページ)
大阪で展開していたタクシー配車サービス「DiDi」が、東京都と京都府に進出する。これまでの実績は?
目指すのは「ITによるタクシー業界の生産性向上」
「タクシーの乗車率を高めることが重要」──そう話すのは、DiDiモビリティジャパンの菅野圭吾副社長だ。乗務員が街中にいる客を見つけやすくする技能は、ドライバーの勘に頼るだけでなく、技術で向上できると菅野副社長は自信を見せる。
従来のタクシー配車アプリは、客から受けた配車依頼を有人の配車センターを介して処理する場合がある。一方、DiDiは配車指示までをAI(人工知能)技術を活用したシステムで完結している点が強みになるという。
大阪でのサービス開始以降、DiDiを利用するタクシー会社の実績として、客の要請から迎車までの時間は平均5分以内、タクシーが到着してから客が車両を見つけて乗車完了するまでの時間は、全体の63%が1分以内に収まった。
タクシー会社にもメリットがあった。DiDiの導入後、タクシーに客が乗っている状態を表す実車率は5%、営業収入は10%向上したが、タクシーの走行距離はDiDi導入前と変わらず効率アップにつながった。DiDiを利用するタクシー会社は、サービス開始当初の12社から42社まで拡大。菅野副社長によれば、口コミで評判が広がり、問い合わせが増えているという。
今後は、タクシーの車載機器とDiDiのシステム連携を強化する他、タクシー需要の未来予測によって客が集まるエリアを地図上に表示するヒートマップ機能、タクシーの営業終了直前に帰社ルート上のみで客を乗せられる「GoHome」機能、乗客の乗車完了時間を予測し、乗車終了に合わせてすぐ次の客を拾えるようにする機能など、乗務員アプリの機能強化も進める。
「2018年はタクシー配車サービス元年だった。DiDiは20〜30代の利用者が多く、ドアtoドアで移動できる新しい体験を提供できている。大阪で実績を作って他の地域に展開する。タクシー会社から声をかけていただく機会も増えており、従来は点で拾っていた客を線で拾えるようになっている。(タクシー会社とは)パートナーシップを組んでやっていきたい」(菅野副社長)
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