HPE、スーパーコンピュータのCrayを13億ドルで買収
Hewlett Packard Enterprise(HPE)がスパコン大手のCrayを買収する。買収総額は約13億ドル。両社の技術を統合することでエクサスケールのHPCをリードしていくとしている。
米Hewlett Packard Enterprise(HPE)は5月17日(現地時間)、米スーパーコンピュータ企業のCrayを買収することで合意したと発表した。買収総額は約13億ドルで、取引は2020年度第1四半期(11〜1月期)に完了の見込み。
Crayは1972年創業のワシントン州シアトルに拠点を置き、世界に約1300人の従業員を擁する上場企業。スーパーコンピュータの性能ランキング「TOP500」の常連で、2018年11月では同社のシステムが5位、6位、9位にランクインしている。直近四半期の売上高は前年同期比16%増の4億5600万ドルだった。
3月には米Intelと共同でエクサスケール(1秒間に100京回の計算が可能なこと)のスーパーコンピュータ「Aurora」を開発すると発表している。
HPEは、エクサスケールはHPCの中で成長している分野であり、今後5年間で40億ドルを超える機会があると予想している。
HPEが注力するハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)でCrayの技術を活用することで、エクサスケール時代のHPC市場をリードしていくという。
HPEのアントニオ・ネリCEOは発表文で「Crayはスーパーコンピューティングにおける世界的なテクノロジーリーダーであり、イノベーションに対するHPEの取り組みを共有している。我々の世界レベルのチームと技術を組み合わせることによって、次世代のHPCを推進し、人々の生活や仕事のやり方を進める上で重要な役割を果たす機会を得る」と語った。
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