「結婚は“好き”だけじゃない」 母親の仲人経験を婚活アプリでAI化、22歳若手社長の挑戦:これからのAIの話をしよう(恋愛編)(2/2 ページ)
「行きたい店」で出会うマッチングアプリ「FANCY」。22歳若手社長は、仲人経験のある母親のノウハウをAI化したという。
高野社長が子どもの頃、洋子さんは実家のリビングで結婚相談の仕事をしていた。相談者が結婚や出産をしたという話を聞くたびに、高野社長は母親の仕事に誇りを持つと同時にもどかしさも感じたという。
「母親に相談しに来た人に子どもができたりするのを見て、素直に尊敬しましたし、肌感覚でも母親の仕事はすごいんだなと思いました。でも、テクノロジーの力を使えばもっと速く多くの人をサポートできるのに、とも感じていたんです」(高野社長)
結婚相談所に入会するには、独身証明書や源泉徴収票などの書類提出や入会金が必要で、手厚いサポートを受けられる代わりに手間が掛かる。マッチングアプリを使えばもっと出会いを加速できると考えたようだ。
高野社長はユーザーの気持ちを知るために知人女性にヒアリングを行うこともあるが、なかなか本音を聞き出せずに苦労するという。「自分では数時間ヒアリングしても同年代の女性の本音を聞き出せないので、そこは仲人さんに頼っています」(高野社長)
仲人だからこそ聞き出せる本音とは、具体的にどんなものなのか。
仲人だから引き出せる本音
例えば「最近の婚活市場では公務員人気に陰りが出てきている」というのもその1つだ。
洋子さんによると、最近は公務員男性でワンルームマンションなどに不動産投資する人が増えていて、女性からは「借金がたくさんある」と思われて人気が下がってきているという。また、安定性や給与の高さなどで人気のメガバンク勤めの銀行員も、AI時代に仕事を奪われる職として不安視されていることや、転勤の多さなどから敬遠されがちなようだ。
他にもこんな例がある。「顔重視で相手を選びたい」という女性にその理由を尋ねると、最初は「ただの面食いです」と答える。しかし、よくよく話を聞くと「自分は親からブスと言われ続けてきたので、子どもにはそんな思いをしてほしくない」という本音が出てきたという。
洋子さんは「こうした素材(データ)を経験という調理器具と調味料で料理するのが仲人です」と話し、「容姿や条件、趣味が合うくらいでは結婚までは踏み切れません。“好き”は3年で冷めるので、私の場合は好きにこだわらない方法をアドバイスします。結婚の本質は“好き”ではなく、50年続く本物の相性なんです」と続けた。
FANCYでは「50年続く本物の相性」を計る一要素として「食」に目を付けた。
「“笑いのツボが合う”では結婚しない」
洋子さんは、FANCYの「行きたい飲食店でマッチングする仕組み」に共感したと話す。仲人の経験から、食の好みが合う相手は結婚しやすいと知っているからだ。
「笑いのツボが合うか、食の好みが合うかで相手を選ぶとよく言いますが、私の経験から笑いのツボが合う同士で結婚した方を知りません」(洋子さん)
さらに「食べるということは実は原始的なことで、食の趣味が合う=体の相性が合うという部分にもつながると考えています。これは結婚と出産には避けて通れない要素でしょう」と指摘する。
マッチングアプリにどこまで仲人のノウハウを反映できるのかという課題はあるが、高野社長は「知見がたまればたくさん仮説を作れるので、あとはひたすら検証をするだけです」と話す。
いまは20〜30代をメインターゲットに、手頃な価格で楽しめるオシャレな飲食店と提携するFANCY。「AI仲人」のサポ―トで、思わぬ相手と出会える──かもしれない。
【追記:2019年5月28日15時15分更新 ※本文内の表現を一部変更しました。】
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