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出版業界もAIに熱視線 「どう使う?」技術者らが提案(2/2 ページ)

出版関係者とエンジニアが集う勉強会が開催され、「AI導入は出版業界を救うか?」というテーマで登壇者らが議論した。

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 自然言語処理に詳しいエンジニアの橋本泰一さんは、創作活動とAIの関係に注目する。いまは作家の創作もAIで支援する時代だ。自動着色のように作業を効率化する使い方もあれば、自動作曲のようにAIがコンテンツそのものを作る事例もある。


橋本さん

「人間が面白いと思うクリエイティブをAIで作れるかどうかは、いまが分岐点だと思っています」(橋本さん)

 AIがプロの作家と同レベルの小説を書き下ろすのは難しいが、AIが簡単なプロットを作成し、それをベースに作家が小説を書くような手法は十分考えられるという。AI単体でどこまでクリエイティビティを発揮できるかどうかに、橋本さんは関心があるようだ。

 「結局、AIをどう使うかはアイデア次第。新しい創作方法や、良い本を多くの人に知ってもらうためのレコメンドなど、さまざまな活用が考えられます」(橋本さん)

「本好きを増やす」のは人間の仕事?

 多くの可能性を秘めるAIだが、「普段本を読まない人に本を読ませるのは、いまのAIでは難しい」と三井さんは指摘する。

 「AIは魔法の杖ではありません。普段ゲームをしている人に読書への興味を持ってもらうには、ベルさん(文学YouTuber)のような人が必要でしょう」(三井さん)


ベルさん

 ベルさんはYouTubeチャンネルの登録者数7万人超の“ブックチューバー”で、自身が読んで面白いと思った本を動画で紹介している。本の要約はAIにもできるが、自分なりの解釈や面白さを伝えたり、他人の共感を誘ったりするのは難しい。三井さんは「ベルさんの行動を学習させたベルさんbotのようなものは作れるかもしれませんね」と笑う。

 三井さんが言うように、AIを使えばあらゆる課題が魔法のように解決するわけではない。しかし、テクノロジーの力を使って効率化、省力化できそうな作業はまだまだありそうだ。出版関係者は、テクノロジーに熟知したパートナーを頼るのも1つの手だろう。

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