メルカリは鹿島アントラーズをどう変える? 会見で小泉社長らが語ったこと(2/2 ページ)
メルカリが、Jリーグ・鹿島アントラーズの経営権を約16億円で取得すると発表した。チームの育成部門を強化する他、ホームスタジアムの店舗にモバイル決済サービス「メルペイ」を導入するなど、競技とビジネスの両面から支援を行っていく予定だ。メルカリの小泉文明社長が記者会見を開き、意気込みを語った。
大型補強は否定、ヴィッセルもライバル視せず
会見は事業戦略の説明が中心で、小泉社長はクラブの強化戦略については「事業で得た資金を生かして、育成面を強化したり、選手やコーチを獲得したりと、良いサイクルを回したい」と話すにとどまった。
Jリーグでは、フリマアプリで競合する楽天がヴィッセル神戸の運営企業を完全子会社化し、資金力を生かしてアンドレス・イニエスタ選手やダビド・ビジャ選手(ともに元スペイン代表)といったスターを相次いで獲得しているが、メルカリは「大型補強は予定していない」(小泉社長)という。ヴィッセルについては「重要なパートナーとして、一緒にJリーグを盛り上げていきたい」(同)と語った。
DAZN参入で時代が変わった
メルカリによる経営権取得後も、1991年の鹿島アントラーズ創設時からチームを支援してきた旧筆頭株主の日本製鉄は11%の株式を持ち、支援を継続する。
日本製鉄の津加宏執行役員は、「スポーツのライブストリーミングサービス『DAZN』(ダ・ゾーン)がJリーグの放映権を取得してから、Jリーグは(資金力が強化されたため)共存から競争の時代へと変わった。その中でアントラーズが活躍するには、経営基盤の一層の強化と、企業価値の向上が期待できるパートナーを迎え入れる必要があると判断した」と述べた。
親会社が伝統ある企業から成長著しいネット企業へと変わる、鹿島アントラーズ・エフ・シーの庄野洋社長は「クラブの伝統や哲学をしっかり継承しながら、変えるべきところは変えていく。(メルカリによる経営権取得は)持続的な成長にプラスに働くだろう。メルカリのノウハウや知識、テクノロジーを生かし、多くのステークホルダーと共に、勝利を追い求めたい」と語った。
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