Facebookが東北5市と提携 「SNSが使いこなせない」と嘆く自治体や中小企業をサポート
フェイスブックジャパンが岩手県と秋田県の5市と協定を結び、FacebookとInstagramを活用して地域の経済やコミュニティーを活性化させるプロジェクトを始めると発表した。
フェイスブックジャパンは7月31日、岩手県と秋田県の5市と協定を結び、市の職員や地元企業にSNSの活用方法をレクチャーしたり、SNS上のいじめや差別を防ぐための啓蒙活動を子供や保護者に行ったりするプロジェクト「その先へ with Facebook」を始めると発表した。地域経済やコミュニティーの活性化に、FacebookとInstagramの活用を根付かせるのが狙いだ。
協定を結んだのは岩手県盛岡市、秋田県横手市、湯沢市、大仙市、仙北市。市の職員がFacebookやInstagramを活用して市政の情報を効果的に発信できるよう、サービスの活用方法や運用ルール、トラブルへの対応方法などのノウハウを提供。自治体が運営するアカウントの発信内容を分析してアドバイスも行う。
地域の中小企業にも、マーケティングや事業拡大、人材確保などの課題に焦点を合わせ、SNSの活用セミナーを開く。
地域の子供や保護者には、SNSを安全に使うための注意点や、自殺やいじめ、差別を防止する同社の取り組みを伝える講演会を開く。高齢者向けにもSNSの活用セミナーを開き、災害発生時に地域で情報共有できるプラットフォームとしてFacebookを活用してもらうようにサービスの認知拡大を図る。
地方の課題は情報発信
提携の背景には、市のプロモーションや、自治体から市民への情報共有についての課題意識があるという。湯沢市や大仙市は、情報発信力が弱く、特産品や観光名所、伝統工芸品などの知名度が上がりづらいという課題を抱えていた。増加する訪日外国人を地域に呼び込みたい狙いもある。
盛岡市の谷藤裕明市長は「若者や海外に向けた情報発信に課題を感じている。今回の提携が、市や地元企業のプロモーションにつながるのではないか」と話す。
横手市の高橋大市長は「地域の情報共有ツールといえば、井戸端会議や回覧板が今でも強い力を持っているが、若者から高齢者までSNSを活用できるようになれば、正確な情報を即座に共有できる。地域の活性化につながる力が手に入るのではないか」と期待を寄せた。
フェイスブックジャパンはこれまでも、兵庫県神戸市や山口県下関市と提携して同様の取り組みを行ってきた。同社の長谷川晋社長はこれまでの提携で「中小企業を応援する大切さが分かったと同時に、効果も感じた」とし、この活動を今後の自治体との取り組みに生かしていくと話した。
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