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インタビュー

豪雨で水没寸前だったサーバをクラウド移行 「獺祭」の旭酒造・桜井社長が語る「テクノロジーとの向き合い方」(2/2 ページ)

日本酒「獺祭」の蔵元である旭酒造は7月から、顧客管理システムを米OracleのIaaSに段階的に移行している。2018年の西日本豪雨で被災し、BCPの重要性を実感したためという。旭酒造の桜井一宏社長に、今後のテクノロジー活用の展望を聞いた。

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「おいしい酒じゃなきゃ意味がない」

 テクノロジーが進歩し、分析の精度が向上した場合は、酒の味が悪かった際の原因究明にAIやクラウドを取り入れる可能性はあるという。「今は職人が個々人で原因を判断し、“お酒の神様が降りてこなかった”などと説明する時もある。これが、『この香りの不足は、5年前の気温上昇が関係している』などと分かるといいだろう。紙のグラフが不要になるのも確かに便利だ。でも、それはまだ先の話だ」

 自社の事業との相性を考慮し、今回は必要最低限のテクノロジー活用にとどめた桜井社長。最新技術を過大評価しているわけでも、人の手作業にこだわっているわけでもないからこそ、こういった決断に至ったといえるだろう。

 「旭酒造が大切にしている言葉は『おいしい酒じゃなきゃ意味がない』。テクノロジー活用は、おいしい酒を造るための手段であって、目的ではないと考えている。『AIは人の仕事を奪う』といった議論もあるが、当社は酒をおいしくするために、人に足りない所を技術でうまく補完しながら、前に進んでいきたい」

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取材で笑顔を見せる桜井一宏社長
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