Microsoft、ユーザーの音声データを人が聞く可能性をプライバシーポリシーに明示
CortanaとSkype翻訳でユーザーの音声データの一部を人間に聞かせていたことを認めたMicrosoftが、プライバシーポリシーとSkypeのFAQページに、サービス向上目的で人間がデータを聞いていることを明示する文言を追加した。
米Microsoftは8月12日(現地時間)、プライバシーポリシー「Microsoftにおけるプライバシー」の「Microsoftのプライバシーに関する声明」を改定し、ユーザーの音声データの一部を人間が聞く可能性があることを明示した。
同社が音声データを人間に聞かせていることを7日に報じた米Motherboardが15日に報じた。
この報道で、MicrosoftはCortanaおよびSkype翻訳の性能改善のために、匿名化したユーザーの音声データの一部を人間が聞いていることを認めた。
改定されたのは、プライバシーポリシーの「ユーザーの個人データの利用について」という項目。「充実した対話型エクスペリエンスをユーザーに提供」する目的での個人データの処理には、「自動化および手動(人的)による処理方法の両方が含まれます」とある。さらに、「自動化されたメソッドは、多くの場合、手動の方法に関連しサポートされています」「自動化された処理方法(AIを含む)の精度を構築、トレーニング、改善するために、自動化された方法で生成された予測と推論の一部を、予測と推論が行われた基になるデータに対して手動で確認します」と、手動(人間が関わること)の目的とその効果について説明している。
また、Skypeのヘルプサイトにある「Skype Translator Privacy FAQ」というコーナー(本稿執筆現在日本語版はない)の、「Skypeで翻訳したら、会話は収集されますか? どのように利用されますか?」という質問の答えとして、翻訳および音声認識技術改善のために「Microsoftの従業員あるいはベンダーが匿名化された音声記録の書き起こしをする場合がある」という説明が追加された。
AIアシスタントなどとユーザーとの音声による会話をサービス向上のために人間の従業員あるいは業務委託者が聞いていることは、米Amazon.comを皮切りに、米BloombergとMotherboardが次々に報じた。
Amazonは4日に「Alexaプライバシー」設定に「Amazonのサービスを改善するために人により確認される場合があります」という文言を追加した。
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