データサイエンティストが今すぐ「アルキメデスの大戦」を見るべき理由:マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(5/5 ページ)
データサイエンティスト視点で映画「アルキメデスの大戦」を見ると・・・・・・? AI開発の現場に詳しいマスクド・アナライズ氏が解説。
現代においても「なぜデータサイエンティストを採用するのか?」「なぜデータ分析を推進するのか?」という目的を明確にしなければなりまん。そうでなければ「データサイエンティストを○人採用」「データ分析チームを立ち上げる」という目標を達成できても、将来が見えない無意味なデータ分析が繰り返されるだけです。
間違った選択を繰り返した結果は、映画の冒頭でも描写されます。1945年(昭和20年)の4月7日、国家予算の4%をかけて建造した戦艦大和は坊ノ岬沖海戦で3000人の乗員とともに沈没します。劇中で「日本の象徴」「世界に威信を示す」とされた大和は、戦場で新たな主役となった航空機によって引導を渡されます。
戦争で沈没した時代遅れの戦艦は、現代に置き換えると日本の象徴だった産業が、外国企業の参入で壊滅した光景と重なってきます。かつての日本の高い技術の象徴だった携帯電話も、スマートフォンによって消え去っていきました。
いまや当たり前になったスマホに対しても、発売当時は「iモードの利便性とは比較にならない」「欧米の利用者は電話とメール機能にとどまっている」「FeliCaもワンセグも高性能なカメラも付いた日本の携帯電話には勝てない」という意見がありました。そんな日本の象徴といえども、いつかは沈む運命なのです。
過去の成功体験に固執した末の失敗は、時代を越え、軍と産業界という組織を越え、現代の景色と重なります。新たな時代に適応することの重要性を鑑みても、アルキメデスの大戦という作品の見方が変わってくるではないでしょうか。データサイエンティストの視座からは、現代における失敗の本質を再び世に問う作品といえるでしょう。
著者からのお知らせ
8月27日より初の著作「未来IT図解 これからのデータサイエンスビジネス」が発売されました。「今さらデータサイエンスの本?」ではなく「今だからこそデータサイエンスの本」です。新しい技術への向き合い方やあるべき働き方など、さまざまな示唆やヒントが詰まった一冊になりました。ITmediaでも連載している松本健太郎さんとの共著となります。Amazonで購入すると、特典として本書に掲載されたイラストデータがダウンロードできます。
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