「メルペイあと払い」限度額はメルカリの“使い方”で判断 勤続年数や年収ではなく「どれだけ約束が守れるか」
メルペイが、あと払いサービス「メルペイあと払い」を中心に同社の信用サービスについて説明する勉強会を開き、メルペイあと払いの利用限度額の設定基準などを解説した。
「メルペイあと払いの利用限度額は、そのユーザーがどれだけ約束が守れるかを基準に設定している」――メルペイ社は9月4日に開いたイベントで、モバイル決済サービス「メルペイ」の利用状況や同社の信用サービスについて説明した。
メルペイは、メルカリ傘下で決済事業を手掛けるメルペイ社が2019年2月に提供をスタート。決済額の最大70%をポイント還元するキャンペーンなどでユーザーを獲得し、現在は月間1300万人以上が利用するまでに成長した。ユーザーは20〜30代の若年層が多く、過半数は女性でメルカリの利用者層と似た構成だ。
4月には、商品購入代金を後払いできるサービス「メルペイあと払い」の提供も始めた。同サービスは、メルペイで決済した代金を翌月にまとめて支払えるサービスで、メルペイ残高が不足するたびにチャージする必要がなく、使えるお金が手元になくても商品を買えるのが特徴だ。
1カ月の利用金額を翌月に一括で請求するという点はクレジットカードと似ているが、利用限度額の設定基準は大きく異なるという。
基準はどれだけ金銭的に余裕があるかではなく、どれだけ約束が守れるか
メルペイ後払いの利用可能額はユーザーによって変わる。判断基準はフリマアプリ「メルカリ」の利用実績だ。「メルカリで商品を売買するときに発送期限を守っているか」「購入を検討しているユーザーからの質問に適切に返答しているか」といったデータから、そのユーザーがどの程度約束を守れるのかを判断し、メルペイあと払いでの利用限度額を設定している。
クレジットカードの場合、申し込みをした人の勤続年数や年収などの情報を基に審査し、利用限度額を設定する。その人に経済的な余裕があるかを主な判断基準としているからだ。
メルペイもクレジットカードでの支払いや残高チャージに対応しているが、メルペイ社はクレカの判断基準に課題を感じていたという。メルペイユーザーはメルカリ同様、若年層が多く、これまでのサービスで指標とされてきた勤続年数や年収などが低い傾向にある。よってクレジットカードを使えるまでのハードルが高い。
行動データの利用については、メルペイあと払いの利用規約で同意を求めているが、プライバシーの問題にも配慮し、高度にプライベートな情報はなるべく使わないよう慎重に開発を進めているという。メルカリを使っていない人など、ユーザーによってはデータが十分にそろわない場合もあるので、機械学習でデータの欠損を補完することも考えている。
メルペイ社の山本真人執行役員は「既存の信用サービスを受けられなくても、信用できない人というわけではないと思う。信用を見える化して、クレジットカードが利用できないユーザーにもあと払いの利便性を体験して欲しい」と話した。
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