ミリ波レーダーで刃物・銃・爆発物を検出 東芝がテロ対策の新技術 駅や空港での利用を想定
東芝がミリ波レーダーを使って危険物を検知し、テロを防止する技術を開発したと発表。駅や空港などの利用者に30〜300GHzの電波を一斉に照射して所持品をスキャンし、モニターに画像を生成する。実用化は2020年以降を想定しており、今後も研究開発を継続する。
東芝は9月5日、ミリ波レーダーを使って危険物を検知し、テロを防止する技術を開発したと発表した。駅や空港などの利用者に30〜300GHzの電波を一斉に照射して所持品をスキャンし、モニターに画像を生成する仕組みで、刃物・銃・爆発物を隠し持っている不審者を見つけ出せる。実用化は2020年以降を想定しており、今後も研究開発を継続するという。
航空保安検査など現在のテロ対策は、検査員・検知機の導入にコストがかかる点や、検査を待つ人で混雑する点などに課題がある。立ち止まる必要がないウォークスルー方式の検査でこれらの問題を解消し、武器の検出精度をさらに高める狙い。衣服を透過する一方、銃や刃物などの金属に触れると反射する他、爆薬に使われる粉体に吸収される――という、ミリ波の特性を生かして開発した。
調査対象となるエリアの壁面に、6ミリ間隔/10ミリ間隔で2種のアンテナを設置し、両者が取得したデータを合成処理して武器の画像を生成する。従来、ミリ波レーダーを使って高精細な画像生成を行う際は、2ミリ間隔でアンテナを設置する必要があったが、この技術によって導入コストを大幅に減らしたという。
武器を検知した場合に警告音を鳴らさない運用を想定しており、不審者に気付かれない形で警察に対応を依頼できるという。空港の他、駅やショッピングセンターなどへの導入も見込む。
発表に先駆けて行った実証実験では、被験者が衣服に隠したモデルガンを特定できたという。今後も研究開発を続け、20年以降をめどに、鉄道会社やアミューズメント施設と連携した実証実験を目指すとしている。
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