実写とレイトレーシングで現実感アップ、ソニーが技術開発
ソニー・インタラクティブエンタテインメントがレイトレーシング技術で作成したリアルなCGを実写映像とリアルタイムに組み合わせる技術を披露した。リアルなCGを使った映画やゲームの制作が容易になる。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントは9月18日、演算で光線を再現するレイトレーシング技術を用いたリアルなCGを、リアルタイムに実写映像と組み合わせる技術を披露した。映画やゲームの制作が容易になるとしている。
レイトレーシングは、光源から発生する光の反射と、それに伴う散乱を計算するため演算量が膨大になることで知られている。例えば1ピクセル当たり12サンプル×6バウンス(反射)なら光線の軌道は72。4K映像では1フレームあたり829万4400ピクセル×72で5億9719万6800通りもの光線軌道を計算しなければならない。
そこでソニーは、多数のGPUを並列稼働させてレイトレーシングのリアルタイム処理を行うシステムを開発。レイトレーシングを適用したオブジェクトを実写映像に合成し、違和感のない映像を作りだした。デモンストレーションでは、現実にあるテーブルの上に配置したモノをCGの人形に置き換えた。モノを横に移動させると、CGの人形も同じように移動する。
レイトレーシングを応用すれば、人形の素材感をガラリと変えることもできる。ソニーは深層学習(ディープラーニング)で素材ごとに異なる光の拡散と反射を推測し、リアルタイムにCGへ反映するシステムも開発。素材撮影用のカメラの前に緑色のプラスチックスプーンを置くと、人形も緑色のプラスチック人形に早変わりした。金属の皿を撮影すると、人形はメタリックな彫像になる。
ソニーでは、こうしたレイトレーシングの応用技術をコンテンツ制作の現場で早期に実用化する方針だ。「実写に近い映像のゲームなどを容易に制作できる他、映画制作の現場ではCGのクオリティー向上とコスト削減が期待できる」としている。
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