FacebookのザッカーバーグCEO、公聴会で「規制当局が承認するまでLibraは立ち上げない」と約束
Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは10月23日に米下院が開催した公聴会で、「米規制当局が承認するまでは、FacebookはLibra立ち上げに参加しない」と語った。
米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは10月23日(現地時間)、米下院住宅金融委員会の公聴会に唯一の証人として迎えられ、約5時間にわたって広範な質問に答えた。
この公聴会は「An Examination of Facebook and Its Impact on the Financial Services and Housing Sectors(金融と住宅にFacebookが与える影響についての調査)」と題されており、デジタル通貨「Libra」を中心に、Facebookが社会に与える影響についての質問が投げられた。
ザッカーバーグ氏は公聴会のために準備した原稿で、「Libra協会は独立した組織でFacebookが管理しているわけではないが、これだけははっきりさせておきたい。米国の規制当局が承認するまで、世界のどこでであってもLibraの決済システムの立ち上げにFacebookは参加しない」と述べた。同氏は公聴会で、Libra協会が規制当局の許可なしにサービスを開始しようとした場合、協会を離れることになると語った。
Libra協会は、発表段階では28の設立メンバーが名を連ねたが、VisaやMaster Cardなどが「様子見」するとして撤退し、現段階では21団体になっている。
ザッカーバーグ氏は公聴会で、多数のパートナーが撤退した理由を尋ねられ、「厳しい調査の対象である危険なプロジェクトだからだと信じる」と答えた。
このプロジェクトについては様々な国や団体が懸念を表明している。18日には仏シャンティイで開催された主要7カ国(G7)会議で、Libraなどのデジタル通貨については最高水準の規制が必要という見解が公表(リンク先はPDF)された。
ザッカーバーグ氏は公聴会で、「私は(Libraを広めるための)適切な使者ではないことを自覚している。この数年間、Facebookは様々な問題に直面しており、この目的(ステーブルなデジタル通貨の実現)を支援するのがFacebook以外であることを願う人々が多数いることを認識している」と語った。
「だが、Facebookは人々の手にパワーを届けることに尽力してきた。人々に自分の金を管理する手段を提供することもわれわれにとって重要なのだ」
また、同氏は「イノベーションしないことのリスク」を訴え、「米国以外は待ってはいない。中国は数カ月中にLibraと同じようなデジタル通貨を立ち上げるだろう。Libraは主にドルで裏付けられる予定で、私はこれが米国の世界における経済的主導権の強化に繋がると確信している」とも語った。
Libra協会が米国ではなく、スイスに拠点を置いていることを指摘されたザッカーバーグ氏は、金融関連の国際組織の多くがスイスに拠点を置いているからだと説明した。協会を米国に移す可能性があるかという質問には、組織を代表してコメントすることはできないとした。
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