ソニーの第2四半期決算は事業ごとに明暗くっきり ゲームは大幅減収、イメージセンサーは過去最高
ソニーが2019年度第2四半期(19年6〜9月)の連結業績を発表した。イメージセンサーが過去最高の売上高。家庭用ゲーム機を含むゲーム&ネットワークサービス分野やテレビなどのエレクトロニクス分野が足を引っ張った。
ソニーは10月30日、2019年度第2四半期(19年6〜9月)の連結業績を発表した。売上高は2兆1223億円で前年同期比3%減も営業利益は2790億円と同16%のプラス。モバイル機器向けイメージセンサーが過去最高の売上高となったが、家庭用ゲーム機を含むゲーム&ネットワークサービス分野やテレビなどのエレクトロニクス分野が足を引っ張る形となった。
「プレイステーション4」(PS4)が期中2度目となる販売台数見通しの下方修正を行うなど不調のゲーム分野は、売上高が4544憶円と前年同期比で17%の大幅減収。一方で「プレイステーション プラス」が増収になるなどネットワークサービスは健闘している。
ソニーの十時裕樹氏(代表執行役専務CFO)は、「10月1日にはPS Nowがサービスを刷新し、期待を超えるスピードで利用者が増えている。AAAタイトルをラインアップできるのがソニーの強み」と期待を寄せる。また開発中の次世代機「プレイステーション5」について「ゲームデベロッパーやPS4ユーザーの期待値はかなり高いと見ている」とした。
音楽分野はストリーミング配信の売上が想定を上回り、売上高は2193億円と8%の増収だった。ただし18年に同分野をけん引したスマートフォンゲーム「Fate/Grand Order」(FGO)は軟調。十時氏は、日本におけるモバイルゲーム市場は縮小していると指摘した上で、「FGOは昨年に比べると減速しているが、期初の見通しと差はあまりない。ユーザー数は減っていないため、長く遊んでもらえるようにユーザーにとっての価値を作っていく」と話している。
エレクトロニクス分野はスマートフォンやテレビの販売台数減少が響き、売上高で4935億円と11%の大幅減収。ただし、オペレーション費用の削減などにより249億円の増益となった。十時氏は、「19年度、20年度はグローバルでパネル生産量が増え、市場価格も下がりがちになる」として、テレビ事業は厳しい環境が続くと予想。「在庫をためないことが重要だ。第2四半期はうまくマネージできたが、今後も緊張感を持って対応していく」という。
対照的に22%の大幅増収となったのがイメージング&センシング・ソリューション分野だ。売上高は3107億円と過去最高。スマートフォンなどのモバイル機器向けイメージセンサーがけん引した。
同社では来年以降もスマホカメラの多眼化や大判化を背景に好調が続くと見ており、「長崎テクノロジーセンター」(長崎県)の工場増設を決めるなど生産体制の強化を図っている。新工場は19年12月に着工し、21年度4月には量産を開始する見通しだ。「イメージセンサーは、当面モバイル市場の需要が中心になるが、将来的にはAIなどと組み合わせ、さまざまなIoT用途や自動運転車などに使われるのではないか」(十時氏)
【訂正:2019年10月31日午前11時 記事初出時、各分野の売上高を誤って記載していました。訂正してお詫びいたします。】
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