カシオが「ネイル事業」参入へ コーセーと協力 デジカメなど撤退事業の技術生かす
カシオ計算機が化粧品大手のコーセーと協力し、ネイルプリンタの共同開発に取り組む。撤退したデジタルカメラやプリンタの技術を生かし、新しい市場の開拓を目指す。
カシオ計算機は10月31日、化粧品大手のコーセーと協力し、ネイルプリンタの共同開発に取り組むと発表した。事業から撤退したデジタルカメラやプリンタの技術を生かし、新しい市場の開拓を目指す。
カシオのネイルプリンタは、デジタルカメラで培った画像処理技術やフォトプリンタ「プリン写ル」のインクジェット技術を用いたもの。独自の爪輪郭認識技術と湾曲補正技術により、手描きでは難しい高精細なデザインでも、つめの端まできれいに印刷できる。プリントにかかる時間は1本15秒ほどだ。
今年6月にはネイルサロンの「FASTNAIL」(ファストネイル)と協力し、店舗にプロトタイプのネイルプリンタを設置してテストマーケティングを開始した。しかし、プロトタイプが行えるのはネイルの全工程のうち、絵を描く部分のみ。ベースジェルなどの前処理はスタッフが行うため、作業効率の向上は限定的だった。
コーセーとの共同研究では、全自動のネイルプリンタ開発を目指す。「コーセーの化粧素材開発力やブランド力と、カシオのプリンティング技術や画像処理技術との融合でライフスタイルを変革する強力な商品やサービスを生み出せると確信している」(カシオ)
まずは12月にコーセーが東京・銀座にオープンする体験型ストア「Maison KOSE」(メゾンコーセー)にプロトタイプのネイルプリンタを設置し、実証実験を行う予定だ。
カシオは18年5月にデジタルカメラ市場から撤退する際、技術をB2B分野や新規事業に生かすと説明した。ネイルプリンタは、19年4月に発表した皮膚科医向け業務用カメラに続く応用製品で、開発チームにはデジタルカメラやプリンタの開発に携わっていた人物も含まれている。
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