一見ミニマム、実は3つの顔を持つシステムカメラ 「SIGMA fp」の変幻自在っぷり:荻窪圭のデジカメレビュープラス(4/4 ページ)
SIGMA初のLマウントカメラが発売されたのである。「SIGMA fp」。なんというか、四角くてゴツくてい小さくて可愛くてミニマム。でも、それが実に斬新なカメラなのだ。
デフォルトのISOオートは上限がISO6400に設定されているので、よく使いそうなISO1600とISO6400で。けっこういい感じに感度が上がってるのが分かるかと思う。
さらにISO25600と拡張ISO感度のISO51200
常用ISO感度のISO25600から拡張ISO感度のISO51200になると彩度は落ちるけれども、ディテールはけっこう出てて悪くない。
ISO25600まで上げて手持ちで夜景を撮ってみた。こんな感じだ。
SIGMA fpは3つの顔を持っていた
さて、使い勝手だけど、上面はシャッターボタンの回りにダイヤル。スライド式電源スイッチ(これは分かりやすくていい)、そしてCINEとSTILLの切替スイッチ。
背面は前述したようにモニターの下にTONEとCOLORの独立したボタンがあるほかは、QSキーやmenu、十字キー兼ホイールだ。
モニターは固定式。
注目はCINEとSTILLの切り替え。シャッターの隣に動画ボタンがあるようにいつでもボタンを押せば動画は撮れる。
でもわざわざ切り替えスイッチがある。それもVIDEOでもMOVIEでもなくCINEである。シネマのシネ(CINE)。
これは映画撮影用カメラを意識しているのだ。だから、外付けSSDに記録したりディレクターズビューファインダー機能があったり動画用RAWデータのCinemaDNGに対応したりしているし、CINEモードにすると画面デザインも登場する用語も全部シネカメラ仕様になる。
ミニマムな構成で3箇所の三脚穴を使ってシステムアップできるのも、シネマ用途と思うと理解できる。シグマは映画用のシネレンズもラインアップしているし。
NetflixやHuluの台頭で本格的なシネマ用途のニーズは広がっていると聞く昨今、モニターやSSDを外部別途装着し、シネマ用レンズを付け、映像用のシステムを組みやすいボディになっているのだ。
しかも、超時間撮影に耐えられるよう、モニターの裏側には放熱用のスリットも用意されているのだ。
いつかfpで撮った映像作品にお目にかかれそうだ。
つまるところ、fpのミニマムなボディは、コンパクトなフルサイズミラーレス一眼であると同時に、業務用のシネマカメラとしても最適化されているのだ。
そして3番目の用途として、レンズを楽しむカメラってのも挙げたい。ボディはとことんシンプルで凝った絵作りが可能で、シグマはレンズメーカーでもあり、純正のマウントアダプターも出している。だから非常にたくさんのレンズを装着できる。望遠レンズを付けるとボディが隠れちゃうけれども、それがいい。手で、あるいは三脚でレンズを支え、ボディはモニター+シャッターのみ、ボディにレンズを付けるというよりレンズにボディを付けるという感覚で使える。
SIGMA fpは小型軽量のスナップカメラ、レンズ主体で凝った撮影を楽しむミニマムカメラ、業務用シネマカメラの3つの顔を持つシステムカメラだったのである。
そして今回使った限りでは、写りもいい。しっかり狙って撮ればそれに答えてくれるクオリティを持っている。
初心者向けではないし単に「小さくて可愛いミラーレス」と思って買うと「あれ?」となるかもしれないし、かなり個性的なので向き不向き得手不得手はあるが、その特徴を分かってる人が手にすれば超強力な武器になり、いろんな作品を撮れるはずだ。
ただモノをみれば得手不得手は抜きにして欲しくなるかも……一見黒くて四角い箱に過ぎないのに……妙に魅力的なのだ。
特にスナップカメラとして見ると、45mm F2.8のレンズがいい。写りはしっかりしてるしけっこう寄れるしコンパクトだし。
fp用として最高なので、他の焦点距離も出してくれないかな、28mmとか35mmとか70mmとか……と思う。出るといいな。
【訂正:2019年11月08日11時38分更新 ※画像の誤りを修正しました】
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