皆で管理の手間を“シェア”してみては?
そのあたり、Facebookの「追悼アカウント」機能が参考になりそうだ。つながっている誰かが亡くなったら、「追悼アカウントのリクエスト」ページに必要な情報を載せて、該当ページの保護を申請すると、運営側が審査して適正と判断したら追悼アカウントに切り替える仕組み。以降は誰もログインできない状態となるが、故人が生前に「追悼アカウント管理人」を指定している場合は、その指名ユーザーだけが記事の投稿や公開範囲の設定などを行える。
DMなどの非公開領域は見られなくなるため、規約違反となるが、あえて通常アカウントのまま故人のログインIDを使って管理している遺族も少なからずいる。それでも、2009年10月の導入から10年がたち、機能を強化しながら着実に利用者が増えているのは確かだ。
少なくとも、放置アカウントと追悼されているアカウントは明確に区別できる。
Twitterも、例えば周囲のユーザーが「いいね」やリプライ(返信)を付けたら休眠アカウントの条件から外すなど、本人以外のアクションによって救済できる道筋も付けたほうが建設的ではないかと思う。
不適切と思えるツイートは現在でも通報によって対応する仕組みが出来上がっているから、閲覧者がいればリスク管理はシェアできる。あとは「大切にしている人がいる」というシグナルを運営側が受けとめるだけでいい。そうした措置を加えれば納得する人が増えるのではないだろうか。
Twitterも故人のアカウントについて考えてこなかったわけではない。同社が「亡くなられたユーザーに関するご連絡」というヘルプページを設けたのは2010年8月のこと。将来必要になるであろうと、スタッフが提案したのが発端だったという。現在の「亡くなられた利用者のアカウントについてのご連絡方法」とは違い、アカウントの削除だけでなく過去ツイートの保存のリクエストできた。
しかし、まったく使われなかった。2012年7月に取材した際、当時の広報は「2012年上半期の問い合わせは全世界でゼロ件でした」と明かしている。匿名性が高いTwitterはアカウントの持ち主と死亡した人物との特定が難しく、申請者も担当スタッフも同定、さらに申請者の続柄の正当性を裏付けるまでに膨大なコストを払うことになる。そこまでして相談するニーズは皆無に近かった。
一方で、「いいね」やリプライで済むなら、比べものにならないほど低コストで済む。
故人のアカウントは、これからTwitter以外でも長期的に人気を維持するSNSには避けて通れない問題になるはずだ。運営元だけでなく遺族や友人、読者などステークホルダーで管理責任を分担して、トータルコストを最小にする仕組みができれば、一番幸せな道筋が描けるのではないかと思う。
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