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国土地理院のWeb地図に「自然災害伝承碑」 先人が遺した教訓を生かす(2/2 ページ)
自然災害の多い日本では、その記憶を失わないよう、当時の様子や教訓などを石碑などに遺してきた。そのような先人たちのモニュメントを、国土地理院が6月から「自然災害伝承碑」として地図に掲載する取り組みを始めている。
災害時には現地の写真などをいち早く掲載する「速報」も
地理院地図は、自然災害伝承碑だけでなく、他にも防災に役立つさまざまな情報を収録している。情報リストの中から「起伏を示した地図」を選択すると、標高を色別に表示した「色別標高図」や、地表面に向かって光を当てて起伏を分かりやすくした「陰影起伏図」、地表面の傾きの量を算出して白黒の濃淡で表現した「傾斜量図」、左目に赤・右眼に青のフィルムを貼ったメガネを通して見ると立体的に見える「アナグリフ」、テレビ番組の「ブラタモリ」で有名な「赤色立体地図」など、さまざまな地形図が見られる。
また、「土地の特徴を示した地図」では、平野部における扇状地や自然堤防、旧河道、後背湿地などを表す「地水地形分類図」や、明治期に作成された地図から低湿地の分布を抽出した「明治期の低湿地データ」などを参照できる。これらも水害対策の参考になる。
さらに、国土地理院では災害発生時に被害状況を伝える空中写真(航空写真)や、国土地理院が収集したデータと標高データを使って浸水範囲における水深を算出し、色別に表現した「浸水推定段彩図」などの速報も掲載している。災害が発生したときは、地理院地図に最新情報が追加されているかチェックすることをおすすめする。
このように、地理院地図には一般的なWeb地図サービスにはない、さまざまな情報が掲載されている。これらをうまく活用し、防災に役立てたい。
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