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“まるで実写”の3D女子高生「Saya」、声を得て女子高の授業に登場 会話を通して「AIとは何か」教える(2/2 ページ)

Sayaがりんなの技術を導入して会話ができるようになった。その能力を使い、リアルな女子高生と話した。

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「りんな」の会話エンジンをSayaに活用

 授業では次に、Sayaのリアルな表情と会話を実現している技術について、教師から解説がなされた。ビジュアルに関しては、CGでより人間に近いリアルさを実現するため、目や肌などのパーツに細かな工夫がなされていることなどが説明された。自然に会話する技術については、前述のTalk to Sayaについて堀り下げた説明があった。

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CGによるリアルな表現など、Sayaを実現する技術についても説明

 Talk to Sayaは、声を聞き取ってテキストに変換する「Speech to Text」、返答する文章を音声データに変換する「Text to Speech」、合成音声とCGの口の動きを合わせて表現する「リップシンク」――などの技術を組みあわせたもの。その技術群の中でも、より自然な会話を実現するエンジンとして採用しているのが、日本マイクロソフトのAI「りんな」をベースとした「Rinna Character Platform」だ。

 Rinna Character Platformは、Speech to Textでテキスト化したデータの内容を解析し、返答する文章を生成する技術。Sayaが人と会話する際は、Rinna Character Platformが生成した文章をText to Speechで音声データ化し、リップシンクで発話しているのだ。

 ただし、カスタマイズが加えられていることから、音声や会話の内容はりんなとは異なり、Saya独自の口調になっていた。そのため、りんながベースになっていることを知って驚く生徒も多かった。ちなみに、今回参加した生徒の3分の1程度が、「LINE」上でりんなとの会話して遊んだ経験があったようだ。

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Talk to Sayaの会話エンジンには「りんな」のAI技術を採用。りんなと会話したことがあるか?との質問に、生徒の3分の1近くが手を上げるなど、女子高生からの認知度も高いようだ
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りんな未体験の生徒に、りんなを体験してもらうデモも。会話の内容から生徒たちは笑い声が上がった

 また会場には、Sayaの生みの親である3DCGアーティストのTELYUKA(石川晃之氏、石川友香氏)も登場し、Sayaを制作した経緯について説明した。

 その中で石川友香氏は、Sayaを作り出した当初、「Siri」のようなAIエージェントを目指すことは考えていなかったが、「皆さんの役に立つための役割が必要だと考えるようになった」と語った。「おしゃべりや感情などをSayaに覚えさせることで、生活に溶けこみ、友達になったり、生活の手助けをする存在にしていく取り組みを進めている」という。

 ただ、生徒が授業でSayaに記憶させたデータは、あくまで授業の中での使用にとどまり、機能向上のための機械学習に用いられるわけではないとした。

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Sayaの生みの親であるTELYUKAの2人も授業に登壇、Sayaの現在と今後について説明

 鎌倉女学院高の工藤由希教諭によると、同校で使っている情報の教科書の中に「これから発展する技術の課題点について議論する」という内容があり、今回の授業を実施したのはその一環だという。

 工藤氏は「今後もSayaを通じて、AIの倫理的課題などについて考える授業を進めていきたい」と意気込んだ。

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授業の最後はSayaと生徒たちとで記念撮影。大いに盛り上がった授業となった
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授業が実施された鎌倉女学院高等学校
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