AWS、自身でプロセッサを開発していく姿勢を明らかに 独自開発の第二世代ARMプロセッサ「Graviton 2」発表:AWS re:Invent 2019
AWSが、米ラスベガスで年次イベント「AWS re:Invent 2019」を開催中。基調講演にAndy Jassy氏が登場。独自開発したARMベースの新プロセッサ「Graviton 2」および、このプロセッサを用いた新しいインスタンスタイプ「M6g」「R6g」「C6g」を発表した。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「[速報]AWS、自身でプロセッサを開発していく姿勢を明らかに。独自開発の第二世代ARMプロセッサ「Graviton 2」発表。AWS re:Invent 2019」(2019年12月4日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
Amazon Web Services(AWS)は、米ラスベガスで年次イベント「AWS re:Invent 2019」を開催中です。
開催3日目に行われたキーノートスピーチには、同社CEO Andy Jassy氏が登場。
Jassy氏は、同社が独自開発したARMベースの新プロセッサ「Graviton 2」および、このプロセッサを用いた新しいインスタンスタイプ「M6g」「R6g」「C6g」を発表しました。
x86プロセッサのサーバと比較して、40%も価格性能比が高いとのこと。
チップデザイン会社の買収がターニングポイントだったとAndy Jassy CEO
Jassy CEOは、2015年にAWSがイスラエルのチップデザイン会社であるAnnapurna Labsを買収したことが、同社にとってターニングポイントだったと振り返ります。
同社がAnnapurna Labsを買収した当初の目的は、Amazon EC2におけるサーバの仮想化機能をより高性能化するためにハードウェアへのオフロード用ASICを自社で開発するためだと説明されていました。
このASICは「Nitro System」の一部として、現在は全てのAmazon EC2サーバに組み込まれています。
【関連記事】Amazon EC2の最新基盤として「VMware Cloud on AWS」や「EC2ベアメタル」の実現にもつながったAWSの「Nitro System」とは?
そして自社でプロセッサの設計能力を持つようになった同社は、サーバの価格性能比を自身で改善していくことができるのであるなら、それを自社で作っていこうと考えるようになったとJassy氏は説明します。
その最初の成果として発表されたのが、一年前のre:Invent 2018で発表されたARMベースプロセッサ「Graviton」です。
【関連記事】[速報]AWSがARMプロセッサ「AWS Graviton Processor」を開発。搭載した「Amazon EC2 A1 インスタンス」発表。AWS re:Invent 2018
今回発表された「Graviton 2」プロセッサは、このGravitonプロセッサの第二世代となります。
AWSはより優れたインスタンスタイプを提供する手段として、自社でプロセッサを開発していく姿勢を明確にしたといえます。
Graviton 2プロセッサは7ナノメートルルールで製造され、これを用いたインスタンスは最大で64vCPUを搭載。25Gbpsのネットワーク帯域とブロックストレージであるAmazon EBSに対して18Gbpsの帯域を実現。
1年前のGravitonと比較してコア数で4倍、メモリの速度で5倍、全体として 7倍の性能向上を実現し、x86世代のインスタンスと比較して40%の価格性能比があると説明されています。
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