AIが「橋の劣化」を推定 ドコモと京大が開発 打音検査を効率化、富山で実験も
ドコモと京都大学が、橋が劣化しているか否かを推定するAIを共同開発。橋の上を車両が通る様子を動画撮影し、そのデータをAIに学習させると、車両の重量を推定した上で、劣化の有無を推定する。人手が掛かる検査業務を効率化する狙い。
NTTドコモと京都大学は12月5日、橋が劣化しているか否かを推定するAIを共同開発したと発表した。橋の上を車両が通る様子を動画に撮影し、そのデータをAIに学習させると、車両の重量を推定した上で、橋のたわみや揺れを解析し、劣化の有無を推定する。
橋の強度の点検はこれまで、表面をハンマーでたたき、音の違いによって劣化の有無を判断する方法などが一般的だった。そのため、技術者の技量によって判断に差が出たり、作業に手間が掛かったりする課題があったという。新技術で、点検業務を効率化し、精度も高める狙い。
橋と車両の模型を使った実験では、既にAIが車両の重さと橋のたわみを同時に推定できることを確認済み。機械学習による異常の検出にも成功したという。
実用化に向け、ドコモと京大は2019年12月9日〜20年9月30日に、富山市の八尾大橋で実証実験を行う予定。4K・8Kカメラで動画を撮影し、AIの有用性を検証する予定だ。
橋の劣化している箇所や、劣化の度合いをAIで推定する技術も構築中という。
ドコモと京大は、一連の技術を22年ごろまでに実用化し、インフラ整備に応用する計画だ。5G通信が商用化された場合は、高精細かつ大容量の動画のやりとりが可能になるため、AIによる点検の精度をさらに高められるという。
ドコモは「安価で手軽な橋の点検手法を確立し、老朽化したインフラの早期補修と長寿命化を促進し、安心して暮らせる社会づくりを目指す」としている。
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