Facebook、トランプ支持記事を拡散する偽アカウントネットワークを削除 AI合成プロフィールも
FacebookとInstagramでトランプ支持コンテンツを拡散していた偽アカウントネットワークをFacebookが削除した。中にはAIで合成したプロフィール写真もあった。
米Facebookは12月20日(現地時間)、「Coordinated Inauthentic Behavior(協調的な不正行為)」を行っていた2つのアカウントネットワークをFacebookおよびInstagramから削除したと発表した。
1つはジョージアで立ち上げられたネットワークで、自国民をターゲットにしたもの、もう1つはベトナムと米国で立ち上げられ、ターゲットは主に米国民だが、英語とスペイン語、中国語を話す世界のオーディエンスも対象だった。
2つ目のネットワークは、主に米メディアThe BL(The Beauty of Life)の記事の拡散に使われていた。The BLはドナルド・トランプ米大統領を支持する記事を多数掲載するメディアだ。
このネットワークを構成していた610のアカウント、89のFacebookページ、156のFacebookグループ、72のInstagramアカウントを削除した。これらのアカウントには約5500万のフォロワーがいた。ネットワークはFacebookとInstagramでの広告に950万ドル(約10億円)投じていた。
610のアカウントの中には、AIで合成したプロフィール画像を使っているものもあった。こうしたアカウントは米国人を装ってThe BLの記事を投稿していた。
Facebookから発表前にこのネットワークのデータへのアクセスを許可されたという米SNS解析企業Graphikaと米シンクタンクAtlantic Councilのデジタルフォレンジックリサーチラボは同日、このネットワークに関する共同調査結果のレポートを「#OperationFFS: Fake Face Swarm」(リンク先はPDF)として公開した。AIによる合成方法についてなどを説明している。
このレポートによると、偽アカウントはAIで偽造したものの他、ネット上のプロフィール写真を流用したものもあり、ものによっては明らかに性別が違うものも含まれていた。バッチ処理で数分間隔で作成されたものもあるという。
ネットワークのキャンペーンは、Facebook上だけでなく、Twitterでも展開されていた。Twitterのアカウントも既に凍結されている。
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