“空飛ぶクルマ”の有人飛行試験、日本発ベンチャーらが開始
ベンチャー企業のSkyDriveらが、“空飛ぶクルマ”の有人飛行試験を2019年12月に始めた。都市部のタクシーに代わる移動手段のほか、離島や山間部の移動手段、災害時の救急搬送などでの活用が期待される。
ベンチャー企業のSkyDriveは1月6日、同社が開発した“空飛ぶクルマ”の有人飛行試験を2019年12月に始めたと発表した。20年夏にデモフライトを行い、23年の発売を目指す。
“空飛ぶクルマ”は「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」と呼ばれ、電動化・完全自律の自動操縦・垂直離着陸などの特徴がある。今回使用した機体は、プロペラを前後左右に2個ずつ計8個搭載し、タイヤは装着していない。同社の広報担当者によると、地上から数十〜数百メートルの位置を飛ぶという。乗員数は1人で、機体サイズは360(幅)×360(奥行き)×160(高さ)ミリ。
SkyDriveは、航空機やドローン、自動車のエンジニアが集う有志団体「CARTIVATOR」のメンバーを中心に発足したベンチャー企業。現在は、SkyDriveとCARTIVATORが共同で“空飛ぶクルマ”を開発しているという。
愛知県豊田市の屋内飛行試験場を使い、飛行高度・飛行形態・故障や誤作動時の安全制御機能・緊急着陸などを確認。徐々に複雑な動作・飛行をしながら、安全性の検証と操作の確認を行う。屋内での飛行試験を経て、屋外での飛行試験許可を取得する予定だ。
空飛ぶクルマの開発について同社は「既存の航空機に比べて低コスト・低騒音、かつ離発着場所もコンパクトになるため、空の移動がより日常的になる」としている。用途としては、都市部のタクシーの代替や、離島・山間部への移動手段、災害時の救急搬送などでの活用が期待される。
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