YouTube、子ども向けコンテンツの新ルールをグローバル展開
YouTubeは、予告通りクリエイター向けの子ども向けコンテンツの設定をグローバルに義務付けると発表した。FTCとの和解条件である児童オンラインプライバシー保護法COPPAに順守するためだ。
米Google傘下のYouTubeは1月6日(現地時間)、予告していた子ども向けコンテンツに関する新ルールをグローバルに展開し始めたと発表した。これは、昨年9月の米連邦取引委員会(FTC)との和解条件を満たすための対策だ。
FTCは保護者の同意なしに子どもの個人情報を違法に収集したとしてGoogleとYouTubeを提訴し、9月に和解金1億7000万ドルと問題修正を条件に和解した。
和解条件は、YouTubeが米国の児童オンラインプライバシー保護法であるCOPPAを順守するために、YouTubeでクリエイター(YouTuber)が子ども向けコンテンツを特定するためのシステムを開発し、実装することだ。また、子ども向けコンテンツがCOPPAの対象になることをクリエイターに通知し、関係者に対しCOPPA順守に関する年間トレーニングを提供することも命じられた。
子ども向けコンテンツの指定
12月10日に更新した利用規約に基づき、クリエイターは自分のコンテンツが子ども向けかどうかを指定しなければならなくなった。クリエイターが指定しないものでも、機械学習システムが子ども向けと判断し、設定を更新することもある。子ども向けとして指定した動画は実際がどうであれ、その視聴者は13歳未満とみなされ、ターゲティング広告が表示されず、プッシュ通知などの機能が無効になる。
どのような動画が子ども向けなのかの大まかな判断基準は「コンテンツが子ども向けかどうかを判断する」というヘルプページで説明されている。YouTubeは「クリエイターは自分のコンテンツを最もよく理解しているので、指定を自分で設定するべき」としている。
YouTube Kidsのプロモーション
子どもがYouTubeアプリではなく、より安全な「YouTube Kids」アプリでYouTubeを視聴するよう促すため、同日からすべての子ども向けコンテンツにYouTube Kidsのプロモーションが表示される。
ターゲティング広告を表示できないことなどにより、これらの変更がクリエイターに大きな影響を与えるとYouTubeは認めている。YouTubeは、子ども向けコンテンツに関する問題に今後も取り組み、FTCと協力していくとしている。
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