富士フイルム渾身の道楽カメラ「X-Pro3」で味わうフィルム時代のノスタルジー:荻窪圭のデジカメレビュープラス(1/6 ページ)
富士フイルムの「X-Pro3」は、実に面妖なカメラである。人によっては「これなに? デジタルだよね、アナログじゃないよね」となってしまう。一体、富士フイルムは何をしたかったのか、説明しよう。
富士フイルムの「X-Pro3」は、実に面妖なカメラである。面妖で道楽で楽しい人には楽しいけど、そうじゃない人には何がなんだか分からないというカメラ。
初代機はコンセプトがトガっててめちゃ個性的なのに、2代目、3代目と経るにつれ、いろんなユーザーの要望を聞いたり、いろんな人に使われていくうちに丸くなってだんだん普通になっていくって話はよく聞くんだけど、X-Pro3は初代や2代目よりトガっちゃったのだ。
人によっては「これなに? デジタルだよね、アナログじゃないよね、でもデジタルじゃないよね……」となっちゃいかねない。何しろ、背面モニターが裏を向いたまま、裏返せないのである。何がなんだか。
X-Pro3の裏返せないモニターの意味とは
四角くて左肩にファインダーがあって、正面から見るとロゴもないクラシックでミニマムなボディが特徴のX-Pro3。X-Proは富士フイルムの主力ミラーレス一眼Xシリーズの初代機で、その特徴は機械式ダイヤルを多用した昔ながらの操作系と、ハイブリッドファインダーにあった。
この操作系はXシリーズのミドルクラス以上のカメラに受け継がれていて、ファンが多い。わたしも好きである。
撮影モードダイヤルを廃し、その代わり、絞りとISO感度とシャッタースピードはダイヤルでダイレクトに操作。オートで撮りたいときはポジションを「A」にすればいい。ある意味シンプルな操作系だ。
もう一つの特徴であるハイブリッドファインダーはX-Proシリーズだけの特徴だ。正面から見ると分かるように、光学ファインダーが付いている。一眼レフではないので、どんなレンズを装着していようが関係なく、向こう側を覗ける。極めて原始的なファインダーだ。
撮られる側から見ると、この状態である。
このとき見えているのはこんな感じ。ファインダーの位置関係を考えれば、レンズの端っこがかぶってるのがまる分かりだ。
ファインダーの中に四角い枠があるのは「そのレンズを付けたときに写る範囲」。ちなみに望遠レンズを付けるとこの枠がもっと小さくなる。
装着するレンズの焦点距離は被写体との距離で、このフレームは動いたりサイズが変わったりするわけだが、原理的に正確さには欠ける。
では、マウントの脇にあるレバーを中指でレンズ側に押してみよう。
すると、ファインダー内に小さな四角が現れた。
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