LINE、AI技術の外販を本格化 まずはチャットbot、AI-OCRを提供 「世の中に広めていく段階に入った」
LINEが、自社のAI技術を外販する事業「LINE BRAIN」で、チャットbotとAI-OCRに関するサービスの提供を始める。これまでは実証実験や自社サービスなどで利用されていたが、月額サービスとして本格展開していく。
LINEは1月21日、同社が開発したAI技術を外販する事業「LINE BRAIN」で、チャットbotとAI-OCRに関するサービスを22日から提供すると発表した。他社との実証実験などを通して同サービスの知見がたまったため、本格展開を決めたという。
「LINE BRAIN CHATBOT」と「LINE BRAIN OCR」という2種類のサービスを提供する。LINE BRAIN CHATBOTは、顧客からの問い合わせ対応などをサポートするチャットbotサービスで、自然言語処理技術と機械学習を用いた対話エンジンを採用している。3カ月間無料で使えるトライアルプランと、月額5万円からの有料プランを用意する。
LINE BRAIN OCRは、アップロードした画像内の文章をテキスト化するサービス。発注書や請求書などフォーマットがある画像を読み込む「テンプレート」と、非定型の画像を読み取る「ジェネラル」という形式を用意。テンプレートは、読み取り枚数300枚までなら無料で使える。
両サービスともに、クラウド型ビジネスチャットツール「LINE WORKS」と連携して使えることも特徴だ。
サービスの開発を担当するLINE BRAIN室の飯塚純也氏(事業企画チーム マネージャー)は、「無料プランから始め、ゆくゆくは有料プランへ切り替えていただけるよう、サービスを大規模に展開したい」と意気込む。
LINEは2019年6月にLINE BRAINの構想を発表。チャットbotとAI-OCRの他に、画像認識や音声合成など計7製品の開発を進めている。
そうした中、まずは他社との実証実験や自社サービスでの利用を通し、知見がたまってきたチャットbotとAI-OCRサービスを本格展開する。他社のAI事業やプロジェクトの相談を請け負うコンサルティングサービスも本格化する考えだ。
今後はアジア市場に展開
新サービスを筆頭に、LINEはAIの社会実装と既存サービスとの連携を強化する方針だ。LINE BRAIN室の砂金信一郎氏(室長)は「昨年でAIが取り組むべき課題は分かったので、今年は世の中に広めていく段階に入った」と説明する。
今後は日本だけでなく、韓国やタイなどLINEユーザーが多いアジア圏に向けてサービスを展開していくという。
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